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ちば在宅医療ことはじめ~まなぶ、つながる、うごく~ 第10回:11月9日(土)
2024年11月9日(土)にオンラインとTKPガーデンシティ千葉にて、ハイブリッド形式でちば在宅医療ことはじめ第10回目の講義を行いました!
在宅医療に活かすパブリックヘルスの視点:佐々木淳先生、イチロー・カワチ先生
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1998年筑波大学医学専門学群卒業。社会福祉法人三井記念病院内科/消化器内科、東京大学医学部附属病院消化器内科等を経て、2006年に最初の在宅療養支援診療所を開設。2008年 医療法人社団悠翔会に法人化、理事長就任。2021年より 内閣府・規制改革推進会議・専門委員。現在、首都圏ならびに愛知県(知多半島)、鹿児島県(与論島)、沖縄県(南風原町・石垣島)に全24拠点を展開。約8,500名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行っている。また、2023年には訪問看護ステーションを東京都(港区)に、2024年には訪問看護ステーションを併設する看護小規模多機能型居宅介護を茨城県(守谷市)に開設。最期まで自宅で過ごしたいと願うすべての人の想いに応えるために邁進している。
佐々木先生には、在宅医療の日本の現状と先生のご活動をお話いただきました。
佐々木先生の在宅医療のモチベーションの一つとして、孤独死を減らしたいという思いがあるそうです。多くの高齢者が人生の最終段階で救急搬送と入退院を繰り返しますが、この状況のなかで孤独死を減らすために在宅医療ができることは大きく4つあるとのことです。①救急搬送になる前に、継続的・計画的な健康管理をして事前に入院を防ぐ ②何かあったときにすぐに救急車でなく在宅医が訪問し入院を減らす ③早期退院支援と退院直後のケアを行う ④急変を減らし緩和ケアや在宅看取りを行う。また、看取りをすることが目的なのではなく、在宅ケアの結果として自宅での看取りがあると佐々木先生は考えておられます。さらに、在宅医療の患者さんは完治がゴールではないので患者さんがやりたいと思っていることをどこまで実現できるかに挑戦しているそうです。例えば「心不全のある患者さんでも温泉に入るにはどうすれば良いか」などを患者さんと一緒に考え、いかに納得して最後を迎えられるかを重視しているとのことでした。
佐々木先生の普段の在宅医療の現場のお話とそこで感じられている疑問がそのまま日本の統計データに反映されているのということがお話を聞いてよくわかりました。
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1992年からハーバード公衆衛生大学院にて教鞭をとる。社会疫学の最初の本である「Social Epidemiology」を共同執筆。ハーバード大学で行なわれているオンラインコース「HarvardX」にて、Health and Society を開講し世界中から32000名の聴講者が募る人気コースとなった。「Social Science & Medicine」の編集長やアメリカ医学研究所(IOM)や米国科学アカデミー(NAS)のメンバーを歴任。オタゴ大学医学部卒業後、同大学で博士号を取得。内科医として同国で診療に従事。ハーバード公衆衛生大学院社会・行動科学学部長を経て現在に至る。
カワチ先生にはヘルシーエイジングの社会的決定要因について、その考え方をどのように在宅医療の現場に応用できるかについてお話いただきました。
はじめに、バランスの取れた食事が健康にとって大切なことは知られていますが、それに加えて、食事の社会的な環境も重要であるとのことです。今年発表された論文では、社会的な環境によって食事の質が変化することがわかっています。(Europian Journal of Nutorition, 2024, Nana Shinozaki .et al)特に日本の男性は一人で食べる時よりも誰かと一緒に食事をする時の方が食事の質が高く、一方で女性は自宅での食事より外食の方が食事の質が高いそうです。(Europian Journal of Nutorition, 2024, Nana Shinozaki .et al)独居/孤食と死亡の関連では、男性では独居で孤食している人よりも同居かつ孤食している人の方が死亡率が高く、女性ではそれぞれ優位な関連が見られなかったそうです。(The Gerontological society of America, 2018, Yukako Tani)
このことから。高齢者に対する栄養改善に関するアドバイスとしてわかることは、栄養や食品に関するアドバイスだけでなく誰と食事をするかなど、環境にまで配慮する必要があるとのことでした。例えば日本人男性向けに料理教室を開くことなどがそれにあたります。このほかにも身体活動の社会的文脈と健康、社会的なつながりと健康、文化的関与と健康についてもお話いただきました。
カワチ先生のお話から、健康になるには栄養豊富な食事や運動をするだけでなく、よりマクロな視点で、食事であれば誰と食べるかなど社会的なつながりにも目を向けることでより健康的になれるかつ的確なアプローチができるのではないかという示唆をいただきました。在宅医療においても、患者や患者家族の視点で、より多くの方が健康的な生活を送ることができる環境やコミュニティ作りが非常に重要だという学びを得ました。
最後に先生方におすすめ頂いた本はこちら。
佐々木先生
今かくあれども
カワチ先生
Old Age
佐々木先生、カワチ先生、充実した講義をありがとうございました!
ちば在宅医療ことはじめ
公式HPはこちらです!