あの頃。がない。(映画『あの頃。』を見て)
映画『あの頃。』について、ストーリーバレはしてませんが、細かなネタバレも許せない方は読まないでください。私もネタバレに脅えてる勢なので気持ちはわかります。(謎の寄り添い)
クリームシチューを出してるお店ってなかなかない。映画「あの頃。」を見たあと、シチューが食べたくなった人も多いのでは。17時の回を見終わったらもちろん腹ぺこだった。だから近くでシチューが食べられる店を探したけど、案の定見つけられず。ほかのもので適当に済ます手もあったと思うが、その日はとにかくシチュー!シチュー!シチュー!だったから、自分で作ることにした。
私はルーを使わずに作る。というと料理上手っぽいけど、つくれぽ9000超のクックパッドレシピの仰せのままに作るだけです。10年以上、シチューといえばこれ。超簡単なのにとてもおいしい。
一度ハマると繰り返し食べたくなってしまうタチなので、シチュー作って、食べて、残りは冷蔵庫にいれて、もう一回作った。一晩に二回クリームシチューを作る女なんて傍から見たら怖いだろうよ。けどね、世の中にはふた鍋分のシチューを一日半で平らげる女もいるんだよ……ケケケ。これからは得意料理を聞かれたらシチューって言おう。
劇中で、シチューを食べたつるさんとコズミンは、粉っぽくてザラザラしてると言っていた。見た目には、あまり具も入ってなさそうで、ルーがうまく溶けてないのか、おたまでよそうとサラサラした感じのテクスチャー。(テクスチャーて)
要はまずいシチュー。だけどどんなにまずいシチューでも、作るか、作ってもらうことでしか味わえない。特に私の場合、自分で作るとおいしくなってしまうので、作っていただかないといけない。シチューってそういう食べ物なんだ。今まで考えたこともなかった。
『あの頃。』ってハロヲタの話なのだけど、あんまりハロープロジェクトのことが気になる映画ではなかった。これには良い意味も悪い意味も含まれてなくて、本当にまっさらな事実として。まずいシチューを食べて笑い合うさまとか、悪口言い合ってても離れないところとか、裏切られても仲直りできちゃうような、信じられないほどピースフルな関係性ばかり残る。ピース!ピース!
私のあの頃。っていつだろう。私にとってのシチューってなんだろう。そう考えると私には、あの頃。がないなあとか、私にシチュー作ってくれる人はいなかったなあとか考えてしまうけど、もしかしたら私はまだ、あの頃。の途中なのかもしれないと思うことにした。そう思わないと自分の深淵を覗くことになり、果てしなく辛いから。深淵ていうのは、本当はシチューもシチューを作ってくれた人もいたのに思い出せないだけなのかもしれない自分の非情さとか、シチューを作ってもらえるほど人と深く付き合えない自分の人間としての欠落とかのことです。ああ文章にしてしまった。あの頃。の途中という解釈も、それはそれで辛いしなあ。うん、辛い映画でした。(褒め言葉)