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街は流れて行く

※自殺の表記があります

とかいで暮らしはじめて12年目になる。
正直なんでここまで生きてこれたのかわからない。

とかいの街は毎日猛スピードで流れていく。
人も物も季節も。

最初の頃は、街には常に最新の流行ものやかわいいものであふれていてワクワクしていた。

でももう今は物を余り買わなくなった。


貧乏なのもあるがそれ以上に…
買っても買ってもキリがないからだ。
街には毎日新しい物が流れあっという間に廃れていく。
流行っては廃れ流行っては廃れ、かわいい物を買ってもすぐに新しいかわいい物が出てくる。
そして昨日買ったものはもう古臭く見えてしまう。

買うとしても本当に欲しいか必要か大切にできるかじっくり考えてからだ。


街は人も流れていく。

12年も大きな街に居るといろんなことに遭遇する。それこそニュースで報道されるような。

その中でどうしても忘れられない出来事がある

コロナが流行る数年前、飛び降り直前の現場に遭遇した。

たくさんの人が空に向かってスマホを掲げいた(バカじゃねぇの)

その先のビルの上に女の人が立ってた

わたしは仕事があったのでそそくさとその場を去った。

休憩中、さっきの奴らが撮ったその瞬間の動画や画像がTwitterで流れてきた。

見ることは出来なくてそっとスマホを閉じた

わたしはその瞬間を目撃したわけではないがビルの先に立つ姿をいまでも鮮明に覚えている。

落ちたとされる通路を通るのが嫌で、あの日以来通ってない。

でももうそこは毎日人が沢山通っている

何も知らない人たちが毎日そこを通っている

街では人の死も雑踏にかき消されていく

何もなかったみたいに。

街はひと一人の死くらいでは止まってはいられないのだ。


でも

わたしは二度とその通路を通りたくない。

その人が誰かは存じ上げないがその人の死は今でもわたしの中で流れずに留まっている。







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