仮面の告白③
壁。
やっとの思いで見出した道に、すべてを飲み込むように立ちはだかる。
表現。
自分が一番苦手なこと。
今までは逃げてきた。
でも今度は違う。
曲がりなりにも自分で見出した道。
突き進まなければいけない。
突き進みたい。
僕は周り道をすることにした。
自分には数字がついている。
それは誰にも負けない。
道とは。
上っ面だけ固めてる奴ら。
表現だけで上がってる奴ら。
そんな奴への反発から見出した最初の道。
目には目を。
自分にはないものを取り入れる。
気は進まないが仕方ない。
ならば気を捨てろ。
感情を消せ。
演じればよいのだ。
いつしか自分はコンピューターのような人間になっていた。
もはや人間ではなかったのかもしれない。
感情などいらない。
徹頭徹尾コンピューターになろう。
アップデートすればよいのだ。
たとえ、そこに自分がいなくても。
そして僕は地位も、名誉も、技術も手に入れた。
時間こそかかってきたものの、誰も成し遂げなかった偉業を成し遂げた。
表彰もされた。
同期全員ごぼう抜きにした。
頑張ってよかった。
初めてそう思った。
今まで夢中になれるものなどなかった。
そんな僕が、初めて夢中になっておまけに結果を出すことができた。
喜びを感じた。
自分の歩んできた道は正しかったのだ、と。
同時に怪物が自分の中に生まれたのを感じた。