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キミは「ソラニン」を知っているか。 ASIAN KUNG-FU GENERATIONにわかファンが「マジックディスク」を語る

セカンドフライを上手に捕れる方も捕れない方もこんばは。皆さん、ASIAN KUNG-FU GENERATION・・・「アジカン」ご存じですか?                            「リライトしてえええ!」のバンドと言えばお判りでしょうか。持っているアルバムは「マジックディスク」と「ソルファ」だけ、しかもほとんど「ソルファ」は聞いてないです・・・ 

な、にわかなんですが、知らない人よりはアジカン知ってるつもりの僕です。そんな僕がグッと来た曲を、歌詞を挙げて詳細をつらつら綴ってく感じで紹介します。いきますよー。

ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)は、日本の4人組ロックバンド。略称「アジカン」「AKG」。情景描写と心理描写を巧みに駆使した、ほとんど日本語で綴られる抽象度の高い歌詞が特徴である。(Wikipediaより引用

  でーす。今度こそいきますよー。

新世紀のラブソング 「確かな言葉が見当たらない 言い当てる言葉も見当たらない それでも僕らは愛と呼んで 不確かな想いを愛と呼んだ」

いいですねー。歌詞全体を通して、20世紀末→21世紀の始まりと、2000年代初期にあった(のか分からないけど)陰鬱で混沌とした感じが見て取れますね。「セカンドフライを上手に捕ったとして」・・幼少期の記憶を引きずったまま大人になってしまった?      「朝方のニュースでどっかの誰かが亡くなって・・・世界は続く 何も無かったように」テレビの向こうの死に僕たちは一々悲しんだりしないですよね。自分が死んでも人々も世界も気にも留めず周り続ける。現実は非情です。「夕方のニュースでビルに飛行機が突っ込んで」は9.11ですね。新しい時代の始まりがこういう形になったら、そりゃ誰だって暗くなります。

目まぐるしい世の中で、心の拠り所すら見失いそう。その何とも表現しがたい感情がラブソングになった一曲。そんな時代なのか、愛は曖昧模糊としていて、はっきりしない・・・ってところでしょうか?難しいですねこの曲。

そもそもアジカン世代は僕の一周り上くらいなんですね。音楽の鑑賞ひとつとってもジェネレーションギャップが出ていそうな感じがします。不安になってきた・・・。

・マジックディスク 「特に名前の無い この喜びを集めて 今一つ抑揚のない 日々に魔法を仕掛けて」

このフレーズはちょっと衝撃でしたね。何でもない日をいい日に・・・みたいな歌詞っていっぱいあると思うんですけど、これはちょっと格が違う。この曲の、この部分聴きたさだけでリピートしてずっと聴いてました。で、ここで問題なんですけどこの曲の歌詞がどういう意味なのかどうしても分からない。         「群れる羊の最後さハードディスク 増設を さらに増設を」←????!?!!!?www

頑張って聴いて、これもラブ?ソングっぽいな・・・っていうのは分かるんですが、サビの部分以外の歌詞が何を主張してるのか本当に分からない。まだまだです。ただ、それを差し置いてもパッションだけで聞き入ってしまうような勢いある一曲です。それでいてサビの歌詞は繊細なんですね。   

アルバム名にしたぐらいの曲ですから、何か特別に思いが籠ってる気がします。「抑揚のない日々に魔法を仕掛け」てくれる曲がこのマジックディスクで、このアルバム。魔法のディスク・・・抑揚のない日々に添えるディスク・・・あ、深いなこれ。

架空生物のブルース 「街の静けさが生々しくて むき出しの僕らはここにあって」

これもいいですね。ありのままの姿の2人、抱き合って絡み合っている形を人間でない「架空生物」と表現しているってことですよね。や、やらしい!

「濁る」「どこにも行けない」「頼りない」というフレーズから、怠惰な生活を送っているようです。飾らず、だらしない等身大の男女が描かれてます。これもヘビロテして聴く曲なんですが、いざ書こうとするとあんまり内容が出てこない。なるほど・・考えるな、感じろ。ということですね

この架空生物は目もなく、両手も一つになって生えています。細胞も液状で羽もなく、糸を吐く・・・想像がつきません。どんな姿で抱き合ってるんだ?ただ、はっきりとはしていないですが不思議と歌詞からは悪い印象はしませんね。後述する「ソラニン」と同じくゆるい幸せがだらっと続いているイメージ。いい意味でですよ。

橙 「涙が落ちて 海に注いで 何時しか空まで戻るような 何一つ残らなくたって 君が笑えばそれで」

なぜか「夕方」のイメージが強く、情景がはっきりと浮かぶノスタルジックな曲。もともと僕が夕日を見ると言いようのない切なさを覚える人間なのもあるんですが、抽象的な歌詞が健在でも伝わってきやすいですね。  「混ざりあって」という歌詞の繰り返しも気になります。色でいうオレンジ色は、黄色+赤色で作れますが・・・どういうことだろう??

ただ、「ドロドロの毎日」「失くした両目」「悪い夢」「密林の骸骨」・・・ネガティブな単語が見え隠れしています。どういうこと??? どれだけ時間がかかっても、形が残らなくても笑って欲しい・・・と 「君」に向けたラブ?ソングではあるものの、単に純粋で前向きな感じではなく、メッセージはもっと深いところにある、っていうのは分かるんですが。抽象的な単語が特徴のアジカンなのに、そこの部分の理解が追い付いてないせいで記事として成立してるか怪しくなってきました。でもつづけます

ソラニン 「例えば ゆるい幸せがだらっと続いたとする きっと悪い種が芽を出して もう さよならなんだ」


はい出ました。この「マジックディスク」で一番好きな曲です。この曲があったから記事を書こうと思いました。正真正銘今回のメインディッシュです。下手したら今後聴くどのアジカンソングにも勝るかも。     御託はいい、一回聴いてみろ・・・!イントロからもう溜め息が出てしまいますよ。

ただ1つだけ複雑なところがあって、この曲は「浅野いにお」氏の漫画「ソラニン」を原作としています。作詞もいにお氏なので、それを一番と主張してファンの方に怒られやしないかと思ってしまいます。でも僕の記事なのでいいですよね?

今述べたように、この曲は元のネタがあって、歌詞と漫画の「ソラニン」の世界観に沿うようにメロディーがつけられました。これが本当にいい。僕みたいなモラトリアム人間にはぶっ刺さり。アジカンに興味を持ったのも、浅野いにお氏の存在を知ったのも「ソラニン」からです。この曲の良さを語るにはまず、いにお氏の漫画「ソラニン」から説明する必要があります。

大学時代の軽音サークルで知り合った「種田」と「芽衣子」。交際から6年経ち、未だに音楽を諦めきれずだらだらフリーターを続ける種田。何となくで就職し、葛藤を抱えたままの芽衣子。多摩川沿いのボロアパートで二人のゆるい幸せがだらっと続いていきます。この二人のモラトリアムっぷりが本当に刺さるし、いにお氏が描く素朴で飾らない女の子もいいんですよね。

で、芽衣子の辞職をきっかけに二人の生活が揺らぎ始めます。今まで見ないフリをしてきた現実、将来・・・急に形をもって目の前に現れます。          真剣に音楽と向き合うことを恐れながらもそれを捨てきれずにいる種田。芽衣子が喝を入れ、種田が仲間と紆余曲折を経て完成させたのが「ソラニン」というわけなんです。ぶっちゃけこの解説見るより、一回聴いたほうが二人のこと分かっちゃうかも。種田が二人を歌った歌、っていう設定ですからね。

この「ソラニン」。レコーディング会社の目に留まりますが、スカウトされたのは種田だけ。誘いを蹴り、種田は一度燃え尽きます。ついには、         「君の言動はいちいちプレッシャーなんだ」     「自分がどうしたらいいのか分からないからって、君は何もしないで俺に押し付けてばっかり」・・・種田も現実を見なければいけなくなり、不意に別れを突きつけます。でもすんなりそうですか、とはならず数日の懊悩。

で、最後には電話越しにやっぱり音楽も仕事も続ける!と種田。芽衣子さん幸せになろう、愛・・・と言いかけて充電が切れます。                決心し、一皮むけた種田。家に帰ろうとしますが、交通事故で死にます。

絶望する芽衣子さん。               もしも、あの時別れていれば。そもそも付き合わなければ。会社を辞めなければ。            「すかすかの2LDKに、たくさんのもしもが充満して苦しい」。 

この時、初めて種田の「ソラニン」を聴きます。しかし種田の作った曲は、思っていたようなラブソングではなく、別れの歌でした。         

しばらく立ち直れずにいた芽衣子。種田の父親の「アイツがいたことを証明し続けるのが、あなたの役割・・・」の言葉をきっかけに、種田の代わりにバンドを始めます。ライブに出ることになり、「ソラニン」も弾きます。そこで気付く。ソラニンは別れの曲、別れとは過去の自分との別れの曲・・。今ここに「ソラニン」が完成して、芽衣子もまた燃え尽きる。種田がいなくなった現実を受け入れて、生きていく。

・・・っていうお話です。「ソラニン」はそもそも、ジャガイモの芽に含まれる有毒成分。しかし、ジャガイモはこの「ソラニン」がないと成長できない。「ゆるい幸せがだらっと続く」と、「悪い種が芽を出す」。   幸せ自体は人間の成長に必要だけれど、それだけでは生きられない。種田は二人の現状とジャガイモの「ソラニン」を重ねてこの曲を作ったわけですね。    「種」、「芽」と二人の名前をもじる歌詞もまたいい。

そして、「ソラニン 新装版」には数十年後の芽衣子の生活が新たに書き下ろしで描かれています。36歳になった芽衣子。5個下の男性と付き合い、婚約、そして妊娠。種田を引きずって未だに一人のまま・・・ではありませんでした。が、むしろこっちの方が現実的です。こんなもんです。    

そして場面は切り替わって、見知らぬ男女二人。かつて種田と芽衣子が住んでいた部屋の下見に来ています。「以前は一人暮らしの女性が住んでいた」という不動産会社からのメッセージと、部屋に落ちていたギターのピック。そこから、かつてこの部屋に居たであろう男女の存在に想像を巡らせます。「昔住んでた 小さな部屋は 今は誰かが住んでんだ」・・・ですね。     種田と芽衣子の恋愛は特別なもののように見えたがそうではなかった。誰にでもあるようなありふれたお話だった。部屋が空いたら、別の誰かが住み、違う物語が描かれる。種田と芽衣子の思い出もその一つに過ぎなかった。

・・・自分で書いていてうっとりするくらいのストーリーです。等身大の若い男女模様を描いた「ソラニン」。種田の作った「ソラニン」。そしてこの2つを汲み取り、完璧に表現したアジカンの「ソラニン」。自分が経験したわけじゃないのに、どれを鑑賞しても後ろ髪を引かれる思いになります。

これ何の記事でしたっけ?ソラニン単体じゃないですよね? どうやら僕のアジカン愛はソラニンに終始しているみたいです。本当はソラニンの良さ、もっと語れるんですけど・・・この部分単体で別記事であげときましょうかね。アジカンファンの方、タイトル詐欺で本当にすみません。

でもまだまだいい曲いっぱいあります!ちょっとだけグッと来た歌詞を綴らせて下さい。よろしくお願いしますから!ちょっと

「下らないかもしれない 詰まらない ノウ ノウ それでも僕にとってはそれが全て」

「2010は僕たちを一体どこへ連れてくの」

「吸い込んだ雨が肺で泳いで 深く深く潜るシーラカンス」

「溢れ出る透明を少し汲み取って 喉を潤して 深くひとつ息をする」

「土曜日の夜は世界にだって 忘れられているみたい」

「波打ち際を這った巻貝もいつかは 星空で光る夢を見る」

「月の裏巡って海まで 来たる日々の打ち合せしようよ」

「亡霊が彷徨い出す時代になって泣いたって遅いだろう?」

「消してええええええええ!リライトしてえええええええ!」

「一度だけ 最後まで 乗れた低く白い波」

「特別な才能は 何ひとつ持たずとも心 今 此処で 掻き鳴らす」

歌いながらタイピングするとやっぱり気持ちいいですね「ソラニン」は是非とも音楽の授業で必修にするべきです。えーす。以上です。






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つばさ
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