Dojyocho

工業(機械)科高校教員 溶接道場長 「We are seekers of welding 」

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最近の記事

多様化する学び

1. はじめに:教育の変化と多様化する学びへの対応 現代社会は急速に変化しています。AIの進化やデジタル化が進み、グローバルな人材競争が激化する中で、私たちが育てるべき生徒像も大きく変わりつつあります。 こうした社会の動きに応じて、教育の現場でも画一的な学びから脱却し、生徒一人ひとりが持つ個性や可能性を引き出す「多様な学び」が求められています。 これまでのような一律の教育では、全ての生徒が将来を見据えた力を身につけることは難しいのが現実です。 私の勤務高校でも、「生徒の

    • 横断歩道の「止まる車」と「止まらない車」から考えること

      日テレNEWSの記事で、小学6年生の堀くんが横断歩道の車の停止率を調査したという興味深い内容が紹介されていました。堀くんの調査結果からは、私たちが普段何気なく見過ごしている運転マナーについて、多くのことを読み解くことができます。 1.意外な傾向 「いかつい兄ちゃんは止まってくれる」「おばあちゃんとスポーツカーは止まってくれない」という堀くんの率直な言葉は、大きな衝撃を与えました。しかし、この結果の裏には、年齢や車のタイプだけでなく、その時の状況や心境など、様々な要因が複雑

      • 多様化する高校:あなたにぴったりの学びの場を見つけよう

        -はじめに- いよいよ、私の勤務する高校の学校説明会が近づいてまいりました。 高校教諭として、数多くの生徒たちの進路相談に乗ってきました。その中で感じたのは、高校選びは生徒だけでなく、保護者の方も、様々な不安や期待を抱かれていることと思います。私自身も一人の親として、子供の成長を願っています。 早いところだと、あと2ヶ月後には高校入試がスタートしていきます。もうそんなシーズンだなぁと肌身に感じながら書かせていただきました。 2.高校選びは人生の大きな転換期 高校選びは

        • 高卒就職者は時代の「勝組」という考え方

          -前置き- 私は進路指導の中の就職指導を分掌として担当をしています。以下は、就職指導担当としての立場で5月に3年生生徒に向けて発行しようとしたものからのコラムになります。 近年の高卒求人状況、企業担当者の方からの熱い思いを伺い、結果、偏った内容となりボツをくらいました。 ですが、内容そのものには重要なメッセージが含まれていると考えていますので、ある程度オブラートに、今回は表現をより柔らかくし、わかりやすく伝える形でお届けします。 1.高卒で就職することの価値を見直そう

          愛知県における中高一貫教育導入の意義 (私見)

          来年度、愛知県でも中高一貫教育が導入される動きが見られています。子を持つ親、教育者として気になるところです。 この中高一貫教育は、6年間という長期にわたる教育課程を通じ、学問的・人格的成長を促し、次世代を担うリーダー育成を目指す取り組みです。地域の教育水準向上を目指すだけでなく、変化する社会に柔軟に対応できる人材を育むための一貫した教育体制を構築するという背景があるようです。 愛知県で導入される中高一貫教育の方式、その意義、期待される効果に加え、国際バカロレア(IB)教育との

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          高校生ものづくりコンテスト-溶接競技部門-課題についての考察

          1. 全国共通の基準による公正な評価 これまで各都道府県で異なった課題が出されていましたが、全国大会では基準を統一したことで、参加者全員が同じ条件で評価されるようになりました。(N種)これにより、公平に競技できるだけでなく、全国の技術レベルの向上が期待されています。 2. 企業が求める人材育成 競技では、溶接の仕上がりや安全に対する意識などが厳しく評価されます。このため、企業は競技経験者を「基本がしっかりした人材」として評価し、現場で即戦力になると期待するようになります

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          生徒を合格に導くために:設備・環境・メンタルの総合的なアプローチ

          JISアーク溶接技能者評価試験に向けて、現在一度実技試験に不合格となってしまい、再受験を控える生徒たちの指導を行う中で、彼らを合格に導くためには、ただ技術的な指導をするだけでは十分でないことを実感しています。技術力だけでなく、試験に対するメンタル面や、設備・環境の要因を考慮した総合的なサポートが必要です。以下に、私が実践している指導方法と、その考え方を共有したいと思います。 1. メンタルサポートの重要性 多くの生徒は、試験になると普段の力を発揮できなくなることがよくあり

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          高等学校における溶接教育の現状と未来への展望

          高等学校(本校)における溶接教育の現状 本校機械科では、これまで実習授業の一環として溶接の技術教育に力を入れてきました。生徒たちは、アーク溶接やガス溶接などの基本技術を実際の溶接機械を用いて学び、各自の技能向上を目指しています。溶接は、ものづくりにおいて基礎的かつ重要な技術であり、機械科のカリキュラムに欠かせないものです。そして、過去には高校生ものづくりコンテストの溶接作業競技部門において、本校は数年にわたって強豪校として名を馳せ、多くの輝かしい成果を収めてきました。 し

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