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第2勢力の力量を見てみたい。

 2024年10月の総選挙の結果、現与党の過半数割れとなった。この結果を受け、「躍進」した国民民主党が政策決定のキャスティングボードを握ったと、マスコミは喧しい。
 しかし、議席数で言えば、国民民主党は第3党ですらなく、第4党である。加えて、その議席数は第1党、第2党に対して、100議席以上の差があるのであり、議決において決定的な力を持てるというのは、冷静に考えるとおかしい気がする。
 現在のイスラエルの連立政権は、連立している極端な政党に過大な決定権を握られ、政策が硬直化しており、事態を改善させる発想を持てなくなっているように見える。日本において、国民民主党がキャスティングボードを握るというのは、このイスラエルと同じようなことが生じるということなのだろうか。あるいは、新聞紙面をにぎわせている「部分連合」とは、どのように、このイスラエルの状況と異なるのだろうか。

 このような複数の政党によって政策形成がなされる事象を表す抽象概念として、「政党システム」という概念がある。「政党システム」とは、一つの定義では、「政党の組み合わせによって示される競争的かつ協力的な相互作用の特定のパターン」とされる。要すれば、複数の政党が対立したり連立したりといった交渉や競合を通して、政策決定や政権枠組みが開始され変化し再構成されているという様相の全体像のことを言っている。
 そして、この政党システムが「パターン」として定義されているように、個々のエピソードというよりも、型、類型、タイプがあるとされている。
 今回の総選挙によって、日本の政党システムが、「一党優位政党制」かた「分極的多党制」に変容したことになる。このようなシステムでは、政党間の相互作用に遠心的な力、傾向が多くみられるようになるとされている。
 とすれば、遠心的ベクトルを第1党と第2党の間で、中間勢力となる第4党の国民民主党が相当程度の存在感を示すということもあり得るのかもしれない。

 しかし、歴史をさかのぼってみれば、いわゆる「大連立」としての自社さ政権という「政党システム」も存在していた。3つの勢力が存在している場合、最小勢力が第1、第2勢力間のバランサーとなって自力以上の影響力を見せるというお話はよく聞くところではある。しかし、第1勢力と第2勢力が手を結ぶということが絶対あり得ないということでもない。

 今回の総選挙の結果からすると、第2党である立憲民主党が第1党の自由民主党とどのような政策協議を実行できるのか、その鼎の軽重を問われているということになるのだろう。