発達障害を疑うヒント
今回はこちらを文字化しました
本日は「発達障害を疑うヒント」というテーマでお話しします。 仕事をしている人やキャリアカウンセラーなど、いろいろな人から「この人は発達障害かもしれないけれど、どうしたら良いのか…」「どういう人を発達障害だと疑えば良いのですか?」といった質問を受けます。
今回は、このような人はもしかしたら発達障害かもしれないので注意してくださいというお話をします。
注意してくださいというのは、排除しなさいということではなく、グレーゾーンだからこのような傾向があるのだろうな、この人の甘えではなく脳の特性なんだろうな。
じゃあ合理的な配慮をしてこの人が働きやすい職場を作ろう、働きやすいようにこちらが少し我慢したり調整したりしてあげよう、などと考えてもらえば良いと思います。 決して本人のわがままではなく、脳の特性だということを理解してもらえたらと思います。
■発達障害とは
発達障害は、ASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如・多動症)/LD(学習障害)の3つから成ります。
よくあるのはASDとADHDを合併したパターンです。 僕が発達障害の説明をするときは、このASDとADHDの合併性として話すことが多いです。
ASD主体の時もあれば、ADHD主体の時もあります。
どちらが主体だからどう困るということではなく、ASDが主体でも困っているのはADHDの症状だったりしますし、ADHDが主体でも困っているのはASDの症状だったりします。
ですから治療の中ではどちらが主体かはあまり気にしません。
・ASD(自閉スペクトラム症) こだわりが強く、人の立場に立って考えたり俯瞰してものを考えるのが苦手だったりします。マルチタスクも苦手です。
・ADHD(注意欠如・多動症) 頭の中がぐちゃぐちゃしやすく、不注意があったり衝動性が高かったり、多動だったりします。
■発達障害を疑うヒント このような特徴を持っている人にどうやって気づけば良いかというと、ヒントがいくつかあります。
ただ、これらがあるから全て発達障害というわけではありません。 ですが疑うヒントになるかもしれません。
・こだわり、完璧主義 こだわりや完璧主義が強い人は発達障害の可能性があります。
こだわりが強いあまり、書類のフォントを直す、スペースをきちんとするなど、一つ一つの資料作りにすごく時間がかかり残業が多くなったりします。
「そこは気にしないから仕事を終わらせなよ」と言われても、「いやいや、やります」と言ってやり続けます。
こだわりが強いために時々爆発してしまう人もいます。
「何でちゃんとやってくれないの!」と怒ってしまう人は、発達障害を疑っても良いかなと思います。 協調性が低い、我慢ができない人だということではなく、衝動性がありついそうなってしまうことがあります。
こういう場合は、きちんと教えてあげたら治ります。
「そんなにがんばらなくても良いんだよ、それはこういうルールだから」と本人が納得する形できちんと説明したら、そこまで完璧主義を貫くことはありません。 納得したら本人はサボれるので、納得してもらうようにします。
また、爆発する前にクールダウンする時間を作るなどをすれば爆発しません。 爆発が酷い人は薬物治療によって良くなります。
・会議中の昼寝、遅刻 次に多いのが会議中の昼寝です。
人と話している時に寝てしまう、日中に場違いな所でも寝てしまう、遅刻が多い場合は、発達障害を疑う要素となります。
社会人としての自覚が足りないということではなく、一生懸命やっているのですがついつい遅刻してしまいます。
体内時計のバランスが悪いのです。 真面目にやろうとしているのに朝起きれないという人はたくさんいます。
薬物治療によって調整してあげて、昼夜逆転にならないようにすることをします。
また、脳のバランスが悪いので、変に気を遣ったりしてすごく疲れます。 だから会議中に思わず寝てしまうということもありますし、リズムが狂っているから寝てしまうということもあります。
これも治療で良くなります。
・バッグの中、部屋、机の上が汚い
女性でお化粧もしっかりしているけれど、バッグの中がめちゃくちゃ、部屋の中がすごく汚い、といった場合は発達障害を疑っても良いかなと思います。結構いますね。
忘れ物が多いタイプです。 これはADHDの症状かもしれません。
・メール、文章作成、あいさつ、プレゼンが苦手・時間がかかる
会話が苦手、自分から言葉を発するのが苦手な人です。
「適当に書いておいて」と言っても、うーんと唸って2、3時間経ってしまう。このような人は発達障害を疑っても良いです。
文章を書いたり、クリエイティブなことをするのが苦手な人は結構います。 ASDの特徴でそのようなことがあったりするので、疑っても良いかなと思います。 言葉遣いが妙なのもASDの特徴だったりします。
敬語を使わなくても良い場面で敬語を使う、誰に対しても敬語を使うとか、そういう奇妙さはASDを疑います。
・うるさい、香水への怒り
周囲の雑談、香水の匂いに対して極端に怒ってしまいます。 「くさいんだよ!」とバンと机を叩いてしまう、なごやかに雑談をしている人たちに向かって「うるさいんだよ!」と机を叩いてしまう人は、発達障害を疑って良いかと思います。
これは感覚過敏で、甘えやわがままではなく他の人よりもすごく感じてしまいます。
匂いも他の人よりも強く感じますし、雑音も他の人より拾ってしまいます。 そのため集団でいるのが苦手だったり怒ってしまう人がいます。 これらはASDの特徴だったりしますので、合理的な配慮という形で、耳栓をする、休める場所を作る、といったことをすると過ごしやすかったりします。
今回は、発達障害を疑うヒントというテーマで動画を撮りました。 これらの1つがあるから発達障害というわけではもちろんありませんが、日常の中で「あれ?この人なんだか普通と違うな」「何か困っているな」というところがあったら、発達障害を疑うのは良いと思います。
それできちんとした対応をしていけば、その人は生きやすくなっていきます。
ですからこのような知識があるのは良いと思います。 発達障害についての詳しい動画は他に撮っていますのでそちらをご覧ください。