セルフライナーノーツ#poetryWBC
さて今回はXで開催された、ちゃも月さんが主宰のイベント、poetryWBC(以下PW)で書いた作品について。
PWとは、簡単に言うと各参加者から『5つのワード』を提出してもらい、それらを主宰がランダムに各参加者に割り振って1ポスト(140字)以内の詩を書いてもらうというイベントです。
で、今回俺に振られたのは、
①人間洗濯機
②硝子のハープ
③茶の香
④地下居住区域
⑤乙種紅燈(オイルランプ)
の5つでした。
完成した作品は以下の通り。
人間洗濯機構は地下居住区域殲滅のため乙種紅燈を目印に『黒硝子のハープーン』を投下し次々と出口を潰してゆく
裏で手を引く隣国の首長は優雅に紅茶の香りを楽しんでいる
彼は地下の民が足下まで掘り進めた長き道を知る由もない
やがて自分が彼らの怒りの炎に焼かれてしまうことさえも
最初にこの5つを見た時は、一語の体裁はとってるものの合成語な上に造語も入ってるし、#PWを付けることが投稿の条件なのでオリジナルの部分は100字程度になっちゃうし、これで詩を書けってのは無理ゲーやん、と思いました。
まぁ、普通に主宰にDMでクレーム入れましたね。率直な感想もポストしました。
DMのやりとりの内容はさておき、選者がふざけてる訳ではなく、ワードの選択にその人なりのこだわりを持って楽しんで選ばれたとのことなので、(その段階では)不本意ながらこの割り当てを受け入れました。
というわけで、あまり気の進まないまま制作に取り掛かりました。
まず最初に、『詩を書こう』という考えを捨てました。
そもそも関連性のないワードばかりなので。
⑤乙種紅燈に関しては、ググって調べるまで『オイルランプ』であることすらわからなかったりしましたしね。
いちばん厄介だったのは①の人間洗濯機。
これをメインに据えるとホラーしか浮かばなかったので、ひとまず考えないことにしました。
もうひとつ、オイルランプに関しても、後でどうにでもできそうだったので捨てました。
②の硝子のハープに関しては④の地下居住区域で誰かが演奏してるパターンなら③の茶の香も入れて、喫茶店という設定もありかな、というのが浮かびました。
浮かんだまではよかったものの、オイルランプは喫茶店のインテリアとして組み込めても、人間洗濯機は無理かなと😅
店名あるいはタイトルにしようかとも考えましたが、悪い意味で『置きに行く』ことになるし、苦し紛れ感まででてしまうのは、さすがに物書きとしてのプライドが許しません。
喫茶店の設定が広がらないので、5つのワードを眺めながら再考。
そこで目に止まったのが『ハープ』。
あれ?ハープーンって何かで見たような?と思いググったところ、アメリカ製の対艦ミサイル(もともとの意味は捕鯨用の銛)でした。
ここで、あ!ワードをそのまま使う必要ないやん、てことに気づきまして、他のワードも何か足せないかと考えてるうちに、兵器の名前を使うなら人間洗濯機団ていう組織名(軍隊名)でよくない?と思ったものの、『機団』は読み手にとって馴染みのないワードだろうしイメージわきにくいかも🤔となりました。
で、組織名にするなら『機構』だなと思いました。公共広告機構(JARO)や石油輸出国機構(OPEC)で誰しも見聞きしたことがあるでしょうし。
余談ではありますが、この『人間洗濯機構』は、ナチスのような異民族排斥を掲げた武装組織のイメージです。過激派かつ武闘派ですな。あえて言い換えるなら『民族浄化機団』ですかね。
閑話休題。
そこまで決まれば早かったですね。
地下居住区域の住民を被差別民にして居住エリアを『隔離区域』とし、前述のナチスのやり方に倣うのであれば全域を『毒ガス室化』してしまおうと思いました。
あとはこういった急襲は夜間に行われるものなので、ピンポイント爆撃のために必要なマーキングのアイテムとしてオイルランプを設置。
さらにハープーンのような兵器を大量に使う為の資金源のフィクサー(黒幕)として『隣国の首長』を設定。
殲滅作戦という残酷な方法で殺す側と殺される側の対比として『優雅に紅茶の香りを楽しんでいる』を入れました。
こういった過程で第1稿が完成。
物語のバックボーンとして、地下居住区域の住民と人間洗濯機構の抗争は長いスパンで行われていること、そして住民たちは『本当に倒すべき相手』を知っていることにしました。
で、第2稿を書いたところで全体の調整と校正。
数文字ながら余裕があったので、ミサイルの名前を『黒硝子のハープーン』にしました。夜間戦闘用にガンメタカラーリングされたミサイルと言ったところですかね。
着弾の際に出口を破壊すると同時に黒く結晶化した燃焼度の高い燃料を爆散させ、マーキングに使われたオイルランプを火元に一気に燃え上って液化し粘度のある『マグマ流』となって内部を焼き尽くす殲滅兵器という深いところまで設定してみたり🤭
途中から意識してたのは物語のダイジェスト版というか、映画の予告編ですね。
そもそも詩を書くことを諦めてるので、あとはいかにドラマチックに仕上げるかといったところですな。
上記の諸々を考慮し、全体のバランスを調整して削って余裕ができたところを地下居住区域の住民の『逆襲』を想起させる場面で埋めました。
これが漫画や小説なら、その逆襲さえも織り込み済みのフィクサーとの頭脳戦だったり、双方に潜入してるスパイ同士の駆け引きとか長丁場に持ち込むこともできなくはありませんが、1ポストに収めるのがルールなので割愛😌
こうしてできあがったのが最終稿になります。
一応最後に再掲しておきますね。
人間洗濯機構は地下居住区域殲滅のため乙種紅燈を目印に『黒硝子のハープーン』を投下し次々と出口を潰してゆく
裏で手を引く隣国の首長は優雅に紅茶の香りを楽しんでいる
彼は地下の民が足下まで掘り進めた長き道を知る由もない
やがて自分が彼らの怒りの炎に焼かれてしまうことさえも
今思えば、最後は
やがて自分が彼らの憤怒の業火に焼かれてしまうことも
にした方が良かったかもですな🤔
以上、セルフライナーノーツでした。
長文にお付き合いいただきありがとうございました🫡