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in the FIRST place-こんな場所をつくりたい-
こんにちは。
先日 HELP BARISTA のサービスを始めることを書きました。
思っていたよりもたくさんの方に情報が届いたことをとても嬉しく思います。シェアしていただいた方ありがとうございます。
サービスの内容だけを伝えても、なかなか想像がしにくいかもしれないので、今日は、自分の考えかたを少しお伝えしたいと思います。
どんな人がコーヒーをいれるのか気になる方は、少し長いですが、読んでみてください。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25593496/picture_pc_99c934d52c8c5b13436fcf5cee15897c.jpeg?width=1200)
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2015年の冬の終わりに東京に来て、3ヶ月後にコーヒーの仕事を始めました。というよりは、エスプレッソの仕事をしたくて東京に来ました。
その直前1年間はオーストラリアで仕事をしていて帰国後のプランは帰国ギリギリまで決めていませんでした。
バリスタでオーストラリアと聞くと、メルボルンにいたのか、と思われる方も多いかもしれませんが、私が働いていた当時は今ほど日本人のバリスタは多くなく、それ以前に、当時の私はバリスタではなく調理の仕事をしていました。
メルボルンでもなくシドニーでもなく、ニューカッスルという街で。
ローカルのカフェで、私の仕事はコーヒーではなく朝食を作ること。
コーヒーできるようになりたいなぁとは現地でも思っていたのですが、
もともと調理師としての契約で行っていたので難しく、キッチンが暇な時にオーダーをとったり、ソーサーやシュガーを用意したり、抽出以外の仕事を手伝う程度でした。
(あちらではかなり細かくオーダーをとります。みんな自分のコーヒーのスタイルがあるので)
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25593753/picture_pc_89f422f640c19f349c8e8420d3cbf027.jpeg?width=1200)
※実際に働いていた店舗
キッチンからはカウンターでオーダーをとるスタッフとオーナーバリスタがよく見えました。
そしてそこにはお客さんが見える。
あるあるですが、オーダーが全然通ってこない。お客さんとオーダーテイクのスタッフ、バリスタがずっと話してるんです。笑
特に月曜日は顕著です。週末のロングストーリーを話してるんです。中身はそんなにない話です。
でもこれこそが、人が足を運ぶ最大の理由だと私は考えています。
(東京で働き始めて、東京のお客さんにも改めてこれを教えられることになり、確信に変わりました。これもまた書きますね)
働いていていちばん良かったのは、空気を肌で感じ、さらにそれを記憶にとどめることができたこと。
今は場所をつくる、という活動にも関わっていますが、
自分がどうしてこういう場所を作りたいと考えたのか、そこに戻るときにはいつも、ニューカッスルのお店が浮かびます。(上下2枚は実際の店の写真です)
ガレージを改装した大きなハコで、週末には朝食を食べにくるお客さんが列をなし、サービングのスタッフが料理を運べないほどの忙しい時間帯にはキッチンスタッフもテーブルに出ます。ただ、コミュニケーションをとる機会は多くはありませんでした。
それでも、楽しそうなお客さん、自然体で寛ぐお客さんを見るのはいつも楽しかった。ひとの楽しそうな様子ってひとを幸せにするんですよね。
もっというと、そういう楽しい空気を自分も共有しているのが、楽しくて嬉しい。そういう空気のなかで仕事ができたことは今考えてもラッキーでした。
スタッフとお客さんの隔たりはとても緩やかで、ひと対ひと、個人と個人、という感じ。私とトムさん、ポールさん、ピーターさん、ジェシカさん、っていう感じ。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25593855/picture_pc_30fedcae7a30a689d2748a2efd409a78.jpeg?width=1200)
やたらに遜るのはいいサービスではないのは日本でも同じですが、
もっと、お互いの心地良さのためにこの場所にいる、それだけ。そんな感じです。
そういう環境で、自分のバリスタの体験はスタートしました。
まだバリスタではなかったのですが、【こういう場所を作りたい自分】の種はここで蒔かれたのだと思います。
オーストラリアの人たちは楽しむことにかけては、ものすごくスキルフルなので、そういうひとたちといると、自然と自分もそういう捉えかた、考えかたに寄っていきます。
私も、日本にいるとき、日本人の方といるときは、楽しそうだね、と言葉をかけられることも多いですが、このときには本当に、自分って全然楽しみ足りていないんだな、ということを痛感しました。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72842752/picture_pc_28ff02291822c2e048d2310ecdcaaf8e.jpg?width=1200)
少し話は逸れますが、現在私はバリスタの仕事の他に、コーチとしても活動をしています。
コーチングという言葉を聞くと、スポーツを連想される方もいるかもしれませんが、スポーツ選手ではなく、一般の方に向けたものです。
もともと、自分自身がこれまで何かに直面した際、【上位目的への変換による問題解決】で切り抜けてきた場面が多いのもあって学んでみると、コーチングの手法はとてもしっくりきました。
そもそもそれはどうしてやるんだったのか、何のためにやろうとしていたのか。【予定していたこと】が【予定通りにいかなくても】悲観的になることはないんだ、という答えあわせができたように感じました。
これをコーヒーショップ に落とし込むと、
自分の最上位目的はお客さんにまた来てもらうことです。
綺麗事ではなく、それが自分のためにもなるからです。
身勝手に聞こえるかもしれませんが、自分が楽しむためにやっていますし、それにはお客さんの存在が欠かせないからです。
もちろん全てのお客さんではなく、
自分が働くお店の望むお客さん、作りたい場所に必要なお客さん、つまり、きてほしいお客さんを選び、そのお客さんが喜ぶことをすることを、自分も楽しんでやりたい、ですね。三方良しです。
とても言語化が難しいですが、先に書いたように、空気というのは協力して作っているものなので、害する原因となるものは見極めが必要です。
物理的に、お店はスタッフよりもお客さんのほうが数が多いわけで、場所に与える影響は大きいですし、お客さんが何を求めて今日は来たのか、体調も気分も含めいつも同じではないので、うまくいかないことも当然あります。
それでも、また来てもらう、というざっくりさで上位目的を設定しているので、そこから何かに努めることができます。できることが増えるんです。
そういう考えかたで働いてきて、とはいえこれは、バリスタとしてだけの考えかたではないかもしれません、他の人間相手のことにも、たいていは同じような考えかたで臨んでいます。
ニューカッスルのお店での空気を知ることがなかったら、コーヒーをはじめたとき、技術だけを求めるようなストイックさに走ったかもしれません。
そしてそういう働きかたでは、東京でも、今のお客さんとの間にあるような関係性も作れなかったと思います。
体験で知ったことが先にあり、技術や考えかたがそれに追いつくように身についた、という感じでした。
バリスタとしての《キャリアのスタート》がどこかと訊かれれば、
初めてポルタフィルターに豆を詰めたときではなく、この空気を知った時だと思います。
そしてそれを知っていることがその後の行動の指針となりました。
ものすごく忙しくて、淡々とオーダーを捌いているときでも、この空気を知っているからこそ、ただの作業にならないでいられるのだと思います。
このカップの先にあるのは?
なんのためにやってるんだっけ?
そんなふうに思うとき、いつもあの雰囲気を、楽しさを、お互いの尊重のうえにある心地よさを思い出します。
そして、コーヒーをやめないでいるのも、同じ理由なのかもしれないなっておもうんです。
読んでいただきありがとうございます。
また書きます。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25595873/picture_pc_14d90b874b8d5ecfa095abd327204c7d.jpeg)
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