中禅寺湖カヌー
ここ数年前から個人的趣味であるカナディアン・カヌーを、仲間達と地元の中禅寺湖で楽しんでいます。ここ数年の夏の猛暑の日でも、中禅寺湖のある奥日光は下界に比べおおよそ10度は低い気温で湿度も低く爽やかなので、夏に避暑を兼ねて中禅寺湖を訪れることが増えました。
昔から避暑地として各国大使館の別荘があったのも頷けますし、フランスやベルギー大使館の別荘は今も現役で使われてます。イタリアやイギリスの大使館は栃木県に払い下げられ、現在は一般公開する公園として使われています。
そのカヌーはMad River CanueのTAHOEというモデルで、20年ほど前に兄と折半して購入しました。今は亡きWILD-1宇都宮戸祭店の展示品閉店処分セールのものだったので、ラッキーにもおおよそ半額で手に入れたものでした。
すぐそばの鬼怒川を下って処女航海を果たした後、福島の桧原湖やフェリーに乗って北海道へ行き釧路川を下ったりと、割と本格的なカヌーツーリングもしていましたが、その後長い間実家の倉庫で長い眠りについていました。
当時はワゴン車であるシトロエン・エグザンティア・ブレークという車に積んでいましたが、その後車が入れ替わったりしてカヌーを積めるようなクルマがなかったのが一因で、数年前にフィアット・パンダ4x4を買いキャリアを付けたことから、倉庫で長い間眠っていたカヌーの存在を思い出すことになります。
このところのアウトドアブームの再燃もあり、倉庫に眠るカヌーを思い出して久しぶりに引っ張り出し、仲間達を誘い中禅寺湖でカヌーツアーを始めてその気持ち良さを改めて再発見しました。そして今ではその仲間数人がカヌーを購入するハメになりましたが(笑)...まあそれだけ気持ちいいってコトなんですよね。
またここ数年のコロナ禍で、屋外で密とは無縁のカヌーは人気があるようで、中禅寺湖でもカヌーをかなり見かけるようになりました。今では中禅寺湖だけでなく、那珂川の川下りなどもするようになりました。音もなくのんびりしたリズムのカナディアン・カヌーには独特の魅力があるように思います。
前回の記事「アウトドア原体験」の小笠原旅行からの続きで、沖縄西表島に行く旅費を稼ぐため、大学2年の冬休みは都内で宅急便のアルバイトをしました。当時で一日1万円以上貰える割りのいいバイトでしたが、その分肉体労働でハードな仕事であり、ある程度慣れたら一人で軽トラを任され、配達ルートを逆算して荷物を積み込み、一方通行の多い都内の狭い路地を回って一軒づつ配達していきます。
配達にも色々なエピソードがありましたが、エレベーターのない5階建で不在だった時はもう地獄で(笑)、不在票を入れて重い荷物を持って更に重い足取りでトボトボと戻ります...
もちろんマニュアルの軽トラを駆使しての坂道発進や縦列駐車、一路地をずっとバックで戻るなどで運転技術は相当鍛えられ、今に通じるドライビングテクニックは冗談抜きでこのバイトの時養ったと言っても過言ではありません(笑)。
2週間ほど働き少しボーナスもいただいて結構な金額が貯まり、テントや寝袋などのキャンプ用具をWILD-1で購入します。
小笠原の一人旅の時は、野宿禁止なので一番安い民宿に泊まりましたが、西表島は宿泊代を節約するため野宿中心のプランで、飛行機のチケットだけ買っての行き当たりばったりの一人旅として、到着した日と帰る前日はお風呂に入りたいので現地で見つけた民宿に泊まりましたが、その間の数日は砂浜などでテント生活して海で水浴びなどしてました(笑)。
思えばこの時から今もずっとWILD-1にはお世話になってるし、ある意味ちょっとしたサバイバル生活を経験できたので、行き当たりばったりで不測の事態にも臨機応変になんとかするチカラを養った気がします。そういう経験を人生のどこかでしていると、ちょっとやそっとではビクともしない人間になる気がします。
西表島はほぼ亜熱帯のジャングルでマングローブの森が広がっており、そこにはカヌーでしか行けない川を遡り、そこから歩いてしか行けない滝なんてのもあります。ここで体験したカヌーの面白さが決定的となり、いずれはカヌーを手に入れようという思いになりました。
日本のジャングル西表島は、怪しい探検隊に憧れた自分には最高の場所でしたし、またそれを味わいたくて社会人となってからも西表島再訪を果たしました。近いうちにまた行きたい場所です。
そんなカヌーの良さを知ったのはこの本で、カヌーイストの野田さんが愛犬ガクとともに、日本だけでなく世界中を旅する様に惹きつけられ、ほとんどの"こぎおろしエッセイ"本を読みました。
しばらくは野田さんの本も読んでおらず、カヌーの存在も忘れたまま何十年も経ってしまいましたが、倉庫に眠っていたカヌーを引っ張り出してからは、仲間と共に中禅寺湖を中心に楽しんでいます。
気がつけば我々もいい歳になっていて、気の合う仲間達と共に、椎名さんや野田さんのような「怪しい探検隊」的な活動をしている訳です(笑)。野田さんと我々とはカヌーの楽しみ方も違いますが、この歳で仲間達と自分達なりにカヌーを楽しむことになるとは、この本を読んだ頃には思いもよらなかったです…
特にこのコロナ禍を経て、"三密"とは無縁の自然の中でのんびりと楽しむカヌーは、野田さんの「のんびり行こうぜ」という言葉がぴったりだと思います。先日野田さんの訃報を聞いて、またこの本を読み返したくなりました。この素晴らしい世界を教えてくれた野田さんに感謝したいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?