んじゃさ、女王や女性天皇の配偶者は英語で何て言うんだろう?と調べてみたら、かなりな沼があったこと
生前退位で、まず真っ先に考えたのが、
「ところでイギリスはどうなんだろう?」
だった。長く続く王家のことだもの、生前退位の一人や二人、どこかにいてもよかろうもん。その方々はどう呼ばれるのか。正式な肩書きは何なのか。
同じ疑問を持つ人は世界各国にいたらしく、ネットフォーラムも幾つかあったが、「生前退位したイギリスの王様や女王様は何ていうの?」という問いに対し、圧倒的に多かった答えが
「dead (死人)」
だった!このブラックユーモアもお国柄w
ごめんよごめんよ、正しくは「崩御」だけれど、ここは敢えて、元々の発言の英国式端的ユーモア感覚を優先するよ!
でも、映画「英国王のスピーチ」でもちらりと出てきた、エドワード8世って、離婚歴のある(しかもまだ結婚している)女性と結婚したくて退位したよね?
調べてみたら、確かにこの方は「王冠をかけた恋」に燃え、生前退位をしておられた。
イギリスは、法制度としては、生前退位を否定はしていない。ほぼ発動はされないけれど、退位したければそれを阻むものは法律的にはないらしい。よって、無事に退位なさり、愛を貫かれたようでした。
wikipediaはこちら。
退位後のエドワード8世の肩書きは、ウィンザー公。前国王とも元国王とも呼ばれない。公爵とか伯爵とかいう肩書きは、こういう時に役立つんだね。
ちなみにエリザベス女王の旦那さまのフィリップ殿下。正式な肩書きは、フィリップ王配殿下、というそうだ!英語だと、Prince Consort。
映画「女王陛下のお気に入り」のアン女王の旦那様、カンバーランド公ジョージ(ジョージ王配)も英語だと、Prince Consort George。王様にはならない。あくまでも、王子様。
日本語にすると、King Consortは「王配陛下」となり、Prince Consortは、「王配殿下」となる。言葉からも格差が分かる。Kingとなると、政治力が強くなるのだろうね。王配殿下は、王位継承権も低くなるんだろうな。もし息子さんとかいたら、息子さんよりも低くなる。だったらKing Consortだと王位継承権2位になるのかな。そういう人もいたのだろうか... と思ったので...
調べてみた。
うん、もはや沼...
どうやら、イングランド史上、King Consortはとても少ない。ってか、検索しても、1人しか出てこない。それが、16世紀のメアリー1世(ブラッディメアリーね)の旦那さんのフェリペ2世。
例えばこちら。
ただしこの方、殆どイングランドにいなかったらしい。また、王位もメアリーとの結婚期間のみに発生するもので、メアリー女王が崩御されたら王位継承権はお子様方に移る、とされていた為、やはり単独で王様になる機会はハナからなかった。契約でトラブルを未然に回避していたらしい。すごい。
ちなみに初めから共同統治者となるべく結婚した場合は、そもそも王様扱いになるので「王配」とは呼ばれない。なので、日本語で王配と呼ばれているかどうかで、元首としての立場の有無も分かるようになっている。言葉って奥深い。
さて、ここでやっぱり疑問が湧くわけでございます。
愛子さまが女性天皇になった場合、結婚相手はどう呼ばれるの?
まず、愛子さまご本人は、Empress regnantとなる。そしてお相手は、皇配(または皇婿)となるらしい。ちなみに殿下。陛下じゃないんだね、徹底してる。英語だと、Emperor consort。ただし、歴史上、皇配は殆ど前例が無い!
世界でも「天皇(Emperor)」という肩書きを持つ方が他にいないわけだから、もはや他国ではどうだろうという比較すらできなくなる。
令和の始まりで、天皇家はどうあるべきか、という議論が再活性化されている。日本国内でも初尽くしだが、世界的に見てもとても珍しい議論なのだということが、訳語の世界から少し垣間見えた。
最後にもう一つ。世界の王配の最近の事情について、とても面白い記事があったので、こちらに貼っておく。
アジアの例があまり出てこなかったのが気にかかるので、時間ができたらそちらも調べてみよう... 面白いドアが開くかもしれぬ。ああ、沼は続く... ずぶずぶ。