見出し画像

レディ・バード Lady Bird

高校生の頃、こんな風に母と喧嘩してみたかったなあ。

テキサスの公立高校時代、「学校」という10代のわたしの世界は、愛媛で生まれ育ち、英語を生涯の苦手科目としていた母のそれとは違いすぎて、わたしと母の間には、二重の意味で共通言語が無かった。

さほど親しくもないお友達のマムはわたしをハグしてくれるのに、わたしのマムはハグをしてくれない。プロムの話も、GPA(注1)の相談も、一切できない。

どうしようもない現実だと、わたしは勝手に諦めた。母の心情にこれっぽちも思いを馳せず、自分がこれ以上傷つくのが嫌で、何を試すこともせず、努力もしないまま、自分の心をシャットダウンした。

当時、レディバードのように、なぜこんなに作文が好きなのか、とか、どの男の子がHotで、今何が流行っていて(だからそれをどうしても買って欲しくて)、ホームカミング(注2)に一緒に行く相手がいないことが、どれだけ疎外感を感じる大事件なのか、全部そのままぶつけていたら、何かが変わっていたかしら。

“I wish that you liked me.”

“Of course I love you”

“But do you like me?”

「娘」として、わたしを愛してくれているのは分かってる。だけど、「わたし」のこと、好き?

真剣な目で、こんな娘の問いを真正面から受けた、ハートの大きなおかあちゃんの表情が印象的。思春期って、本当に厄介。古今東西、これからもきっと、人が人でいる限り変わることはないだろう。いや、もしかしたら、AIを搭載した擬似おかあちゃんとかが登場して、思春期の揺らぎの受け皿になったりするのかしら。

余談だけれど、サーシャ・ローナン、顔が長くなった。ここからどんな大人になるのかな。

注1:GPA Grade Point Average の略。高校4年間を総括する成績指標であり、大学進学時の参考資料の一つ

注2:卒業生が母校に帰ってくるパーティ。カップルで出ることがほぼ当然のようになっている。友人としてのカップルも可。


言葉は言霊!あなたのサポートのおかげで、明日もコトバを紡いでいけます!明日も良い日に。どうぞよしなに。