見出し画像

 THE BACK HORN じゃなきゃ駄目なんだ

私にとって喜怒哀楽の「楽」の部分を与えてくれる音楽は、沢山あります。聴いてると問答無用で幸せな気分になれたり、踊りだしたくなってウキウキしたり。

でも、THE BACK HORNの音楽はそれだけじゃないんです。

バックホーンの音楽は、色濃い「怒」や「哀」、それだけじゃ言語化できないような曖昧で繊細な気持ちも拾い残さず表しています。

 

例えば、アルバム「カルぺ・ディエム」収録曲の「I believe」。

 この曲の歌詞

何もかもが正しくないなんて 言われたって 分からなくて 時だけが過ぎてってしまったよ もうこの夢だけ抱いて 全部裏切って もうこの夢だけ抱いて 後は捨ててきたよ ああ夜が更けていった ああ二度と戻れないよ ああひとり闇の中で 描け 光を描け

というパートからは、夢を追いかけ続け過ぎてしまった主人公の後悔や苦々しさ、絶望と、それでも夢を追い続けていたいという一筋の希望もごちゃごちゃになった洪水のように押し寄せてきます。

 

「楽」以外の感情なんて、わざわざ歌にして呼び起こす必要がないのかもしれません。それでも、バックホーンの曲を聴くことで「あぁ、私はいま怒っていたんだ」とか、「悲しかったんだ」とはっとする瞬間が多々あります。凝り固まって無感情になっていた心のマッサージをバックホーンにしてもらうことで、徐々に楽に呼吸ができるようになっていく感覚がします。

 

 

THE BACK HORN の魅力はその歌詞だけに留まりません。全員が表現者であり、その鬼気迫るパフォーマンスがあってこそ、私はバックホーンのとりこになったのだと思います。

 

特にボーカル山田将司さんの激情は、聴いているこちらも否が応でも曲の世界に引きずり込まれてしまうほどです。

先ほど述べた「I believe」での泣きながら吠えているかのような歌い方、「ペトリコール」での寒々しいほどの孤独を表す、ある意味で幼い恐ろしさの残る歌い方、「太陽の花」での力強くまっすぐで、「俺たちを信じろ!」というような歌い方、「フューチャーワールド」での皮肉っぽく、現代社会への怒りを表しているかのような歌い方…

実はこれ、すべて一つの「カルぺ・ディエム」というアルバムに収録されているんです。一つのアルバムでこんなに沢山の喜怒哀楽を感じることができて、聴き終わる頃には失われた感受性が取り戻されたかのような感覚になります。

 

バックホーンの曲一つ一つにドラマがあります。「なんとなく」聴ける曲なんて一曲もありません。

 

長くなりました。重度のバックホーンオタクなので、書き足りません。笑

また書きます。4月13日発売の新アルバム「アントロギア」も、楽しみです。

  

いいなと思ったら応援しよう!