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推しの香水 Part5 -パルマ女公 マリア・ルイージャ II


Duchessa di Parma Eau de Parfum

パルマ女公のスミレがとうとう我が家にやって来た。クラシカルなパッケージデザインに惚れ込み、早数年。発売元のオフィシャルサイトが無いからこそ様々な思いを巡らせていた。
当時は発送先がEU圏内だけの店ばかりで購入できず。輸入代行もイタリアから香水を事業者が日本宛に発送するのは両国の法規定により難関極まりない。
厄介な書類を何通も各所に提出し許可された業者だけが一般小包発送できる。他の業者は150ユーロ前後もする危険物扱い小包での発送、若しくはお断りだ。

今回は運良くUSのとあるショップから送料無料、4000円程度で購入出来た。

さて、マリア・ルイージャのスミレ。ノート構成は以下のとおり。

○トップノート
ジャスミン、バイオレット
○ミドルノート
バイオレット、ローズ
○ベースノート
イランイラン、ムスク、バイオレット

Fragranticaより

拡散せず上品に香るパウダリーフローラルブーケ。だがこれが絶妙な塩梅でフレッシュに調香されている。
トップノートはHonoré Payan のViolette Eau de cologneにそっくりだ。ジャスミンが瑞々しさとクラシカルさを添え、ミドルからラストまではローズとスミレのパウダリーフローラル。ムスクは脇役に徹し、イランイランも主張しない。

そして、ピオニーが?!
憶測の根拠はローズとスミレとピオニーの隠れ名作、アクアアレゴリア ローザポップを思わせるミドルノートだ。大人びたローザポップ、クラシカルなローザポップ、そんな雰囲気が漂う。
フランスのオノレ・パヤン(Honoré Payan)を抱負とさせる独特のクラシカルな感覚。この香水は19世紀後半の調香ではなかろうかと錯覚してしまう。重くならずフレッシュなパウダリーフローラルブーケの出来栄えはオリザ・ルイ・ルグランのツァーリのスミレ香水とスミレのルームフレグランスに共通するものがある。

スミレの香りが好き。でも近年主流のケミカル新素材入りや大量のバニラ入りは苦手という方には救世主となる筈だ。
同じ理由でオノレ・パヤンのバイオレットクラシックコロンもおすすめする。
オノレ・パヤンは以下の記事を参考にして頂ければ幸いだ。

マリア・ルイージャによる水彩画

マリア・ルイージャはスミレの香りの香水を初めて使用した女性。ハプスブルク家出身の女性らしく植物学に興味があった。パリでの若い時代もスミレを育て、パルマに移るとスミレの苗を取り寄せて栽培させ、植物園を開園させた。手紙のインクもスミレ色、ドレスもスミレ色を好んで着用した。
謁見に訪れるパルマ市民はルイージャに敬意を込めてスミレの花束を渡したそうだ。彼女の最初の夫もスミレ愛好家であり、"Caporal Violette" (スミレ伍長)"Père la Violette"(スミレのお父さん)というニックネームがあったとのこと。彼はマルメゾン城の見事なローズガーデンを好み、前妻ジョセフィーヌが住む城へルイージャを連れてバラを見せたいという突飛な誘いをするが勿論断わられた。香りに敏感な男性にしてはデリカシーに欠ける男だ。

フォトコラージュ
パルマ女公マリア・ルイージャとパルマ公国首相アダム・ナイペルク

デリケートな配慮のできる男こそ、ルイージャ2番目の夫アダム・ナイペルク伯爵だ。連合軍がパリに接近し、慌ててウィーンに逃げ帰ったルイージャの静養先での護衛として派遣された。ルイージャの到着を前にピアノを調律し、転落事故があった滞在先近くの橋を修繕させた。ナイペルク伯爵は秀でた軍人でありながら穏やかな性格の人物。ルイージャとともに音楽を愛し、パルマを音楽の街として発展させた。

1925年のボルサリ1870 広告

パルマスミレ香水は一気に紹介できないほど存在する。修道僧の秘伝調香を再現したボルサリのルイージャの香水は経営こそ変わったが現在も購入可能だ。
PARMA VIOLETTA (購入前に要送料見積り)
https://en.violetta-shop-parma.com/ 

PARMA VIOLETTA
オーデトワレとオーデパルファム

商品ページにフレグランスノートの記載が無いのだが、トワレとオーデパルファムの調香は若干違うのだろうか? まずは問い合わせてみよう。推しの香水探求道は本格的にスタートする。

○出典

・Fragrantica 
Duchessa di Parma Profumo alla Violetta Duchessa di Parma
https://www.fragrantica.com/perfume/Duchessa-di-Parma/Duchessa-di-Parma-Profumo-alla-Violetta-79203.html 
○『マリー・ルイーゼ ―ナポレオンの皇妃からパルマ公国女王へ 』上・下
文春文庫 塚本哲也 著
○VIAGGIE PROFUMI 
LE CITTÀ DEL PROFUMO : PARMA E LA VIOLETTA DI MARIA LUIGIA
https://www.viaggieprofumi.it/2015/04/le-citta-del-profumo-parma-e-la.html 
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