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<連載①>ものがたりのはじまり『14ひきのひっこし』

まもなく40周年をむかえる、「14ひきのシリーズ」
これまでに12作が刊行されていますが、ことしは連載企画として毎月1冊ずつご紹介していきます。

今回は、1983年に『14ひきのあさごはん』と同時刊行された、『14ひきのひっこし』です。

『14ひきのひっこし』(いわむらかずお・さく)

14ひきというと、木の中のおうちを思い浮かべる方も多いと思います。
『14ひきのひっこし』では、木をさがし、自分たちの手でおうちをつくるところ、つまり14ひきの物語のはじまりが描かれています。

14ひきの絵本をつくろうと決意したとき、作者のいわむらかずおさん自身も、東京から栃木県の益子へ「ひっこし」をしました。
それは、自然の中に身を置き、14ひきと同じ視点で絵本をつくるためでした。

本作では、いわむらさん自身が体験したひっこしへの思いがさまざまなところで表現されています。

『14ひきのひっこし』(いわむらかずお・さく)

設計図を書き、職人さんへの依頼も自分でおこなったといういわむらさん。
図面を手に子どもたちにあれこれ指示を出している14ひきのおとうさんの姿に、当時の自分を重ねます。

14ひきは川から水をひき、橋をかけます。
くらしのために必要なものは何なのか、それはどうしたら手に入れられるのか。
いわむらさん自身が、自らの手でくらしをつくっていったことが、おはなしの中で描かれています。

『14ひきのひっこし』(いわむらかずお・さく)

そして14ひきにかかせないのが、食卓の場面。
いわむらさんは、この場面を「14ひきの絵本をつくる上で、まず描きたかった」そうです。
結局『14ひきのひっこし』だけでは満足せず、どの作品にも、食卓をかこむシーン、家族で何かを食べるシーンを描きました。

いわむらさんは言います。
「食べることは、命のいとなみでいちばん大切なこと」

食事のあたたかさや、14ひきの楽しい会話がきこえてきそうな、ほっとする場面です。

こうしてすてきなおうちをつくった14ひき。
次はどんなおはなしでしょうか。
どうぞお楽しみに。

『14ひきのひっこし』(いわむらかずお・さく)
1983年7月刊

(広告宣伝担当・はな)
「14ひきのシリーズ」にみちびかれて童心社に入社した私。この『14ひきのひっこし』も思い出の1冊です。小さいころは「もしわたしが14ひきだったら……」と14ひきの視点でものごとを想像するのが大好きでした。

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