<ありがとう 和歌山静子さん①>子どもたちの心に届けたい――紙芝居
先日、私たちのもとに和歌山静子さんがご逝去されたという悲しいニュースが届きました。
83年の生涯の中で、多くの絵本、紙芝居を手がけられました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
25作の書籍と、50作の紙芝居。
童心社から出版された和歌山さんの作品から、今回は紙芝居についてご紹介します。
和歌山さんは、紙芝居の制作についてこう書いています。
数ある紙芝居作品の中で、とっておきの1作として和歌山さんがあげたのは『こねこのしろちゃん』でした。
おかあさんやほかのきょうだいたちはまっくろなのに、しろちゃんだけはまっしろ。
自分もまっくろになりたいとがんばるしろちゃんの前にあらわれたのは、まっしろでとてもりっぱなお父さん!
『こねこのしろちゃん』を観ると、自分が自分であることが誇らしく、うれしい気持ちになります。
1983年の刊行以来、今もなお愛されつづけています。
和歌山静子さんは、高橋五山賞を受賞した『みみをすませて』(2013年)や、『ころん こっつんこ』(2018年)をはじめ、民話紙芝居からあかちゃん紙芝居まで、じつに幅広い作品を生み出しました。
また、紙芝居の創作だけにはとどまらず、海外、特に中国へ紙芝居を広める活動にも精力的に取り組みました。
みずから足を運んで演じたり、紙芝居についての講座を開催したり……。
中国の子どもたちも、日本の子どもたちと同じように紙芝居を心から楽しんでいることを実感し、文化交流が進むことを願っていました。
そんな和歌山静子さんが最後に描いた作品もまた、紙芝居でした。
こがようこさんが脚本を手がけた『おばけの ぷーちゃん』です。
ぷーちゃんが海の中でいろいろなおともだちに出会うすがたが、なんとも愛らしく描かれています。
和歌山静子さんの力強くあたたかなスミ色の線で描かれる、紙芝居の絵。
これからも子どもたちに愛されつづけることでしょう。
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