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「原爆の図」からうまれた紙芝居――『ちっちゃい こえ』

先日、「原爆の図」第一部の修復が終わり、原爆の図丸木美術館に戻された、というニュースがありました。

「原爆の図」とは、画家の丸木位里さん、丸木俊さんが原爆投下直後の広島に入り、そこで目にした光景や体験者の証言をもとにつくりあげたもの。
今回修復された第1部「幽霊」から第15部までの大連作が、「原爆の図」なのです。どの作品も縦1.8m、横7.2mという大きさで、四曲一双の屏風絵の形になっています。

この「原爆の図」をもとに生まれたのが、アーサー・ビナードさんが脚本を手がけた紙芝居『ちっちゃい こえ』です。


物語の語り手は、黒猫の「クロ」です。

クロは語ります。
家族のこと、体の中のちっちゃい声のこと。
そして、ヒロシマのこと。

ヒロシマの生き物たちにはなにがふりかかったのか?
わたしたちはどうすれば生きていけるのか?
美しい絵から響いてくるそのこたえに、1人ひとり耳をすます紙芝居です。

詩人のアーサー・ビナードさんは、2018年の刊行当時、本作の創作についてこう語っています。

こちらの動画でご覧いただけます。


これまでに『ちっちゃい こえ』は、さまざまな場所で演じられてきました。
私たちのもとに届いた、この紙芝居を体験した方の声をご紹介します。

2021年、まちのてらこや保育園にて。1歳から5歳のこどもたち

●夏の平和学習に活用します。子どもたちにも高齢者にも伝わりやすい内容だと思います。
私自身4歳で被爆しましたが、あの日を語れる人が少なくなっている現状! この紙芝居は心強い味方になると思います。

●「ずんずん るんるん」というサイボウの音がおもしろかった。
(小学4年生)

●まさか 「原爆の図」が紙芝居になるなんて、思ってもみませんでした。でも、その紙芝居を手にできて本当に幸福です。
すべての生命を殺す核の怖さを主人公の猫から教えてもらいました。声に出して紙芝居を演じ、誰かと一緒に話したいと思いました。

●「原爆の図」丸木美術館に行って 「原爆の図」を実際に観てみたいと思いました。

●観る前は「ちっちゃい こえ」が何のことか分からなかったけれど、人間の体から聞こえる音だとわかって、「生きるってすごいな」と思った。
(中学2年生)

●子ども食堂をしています。8 月のイベントとして「すいとん」を食べながら、『ちっちゃい こえ』を演じました。
みんな静まりかえって聞いていました。どうもありがとうございました。

●原子爆弾は、生きのびられてもそのあとから亡くなっていくと聞いてびっくりしました。
(中学1年生)

●原爆によってすべての生き物が被害者になったのだと再認識しました。


子どもから大人まで一緒に作品を分かち合えることは、紙芝居である本作の大きな力。
78年前の「あの日」から響いてくる声、自分自身から響いてくる声に耳をすませながら、体験してほしい紙芝居です。


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