<インタビュー>『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』著者・たけがみたえさん
むしのあかちゃんが成長し、卵をうむまでの命のつながりをあたたかく描く「むしのたまごシリーズ」。
今月、シリーズ第4作となる『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』が刊行されます。
刊行を記念して、作者のたけがみたえさんにお話をうかがいました。
――今回の主人公は、子どもたちに身近なダンゴムシ。
生態をふまえながらも、だんちゃんの表情がいきいきと描かれていて、ともだちのような親しみを感じました!
わたしにとっても、ダンゴムシはとても身近な存在です。
大人になった今でも黒ぐろとしたダンゴムシを見つけると、思わずポケットに入れてつれて帰りたくなります。
でも、いざ絵を描こうとすると、たくさんの足がどこからはえているのか、どんな体の構造でまるまるのか……ダンゴムシは小さいですし、いろいろわからないことがあって、はじめは難しく感じました。
それで、まずは写真を見て、監修の須田さんが子どもたちに説明するときに使う模型を見せてもらって、それからまた、本物のダンゴムシをじっくり観察しました。シャーレと落ち葉と虫めがねも用意して。
いっしょに過ごしていると、発見がいっぱいあるんですね。愛着もわいてきて、やっぱり本物にふれることは大切だと改めて感じました。
――ダンゴムシは人気の虫ですが、おもしろい生態がたくさんあるんですね!
そうですね。私たちは、普段じめじめして暗いところにいるダンゴムシのすべてを見られるわけではないんですよね。
今回、ダンゴムシはお尻から水をのむことを知って、おもしろいと思いました。
脱皮の仕方もユニークですよね。
生態のことは、監修の須田さんに教えていただくことも多くあります。
須田さんは知識として教えてくださるというよりは、ご自身が経験したこと、見てきたことを臨場感たっぷりにお話ししてくださいます。
そうするとイメージがわきやすいですし、その虫のことをとても身近に感じられるんです。
図鑑ではなく、絵本の世界でどうみせるかということも大事にしてくださっていて、とてもありがたいです。
――オスのダンゴムシとの出会いの場面は、印象的な美しい絵ですね。
このシリーズは、産卵やあかちゃんがうまれるところまでを描いているのが特徴ですが、パートナーとの出会いの場面も1冊の絵本の展開の中でとても大切だと思っています。
その前の場面から雰囲気をきりかえ、つぎのいのちがうまれる場面へつなげるために、少し時間がとまったような象徴的な描き方をしています。
――メスのダンゴムシが、どうやってあかちゃんをうみ育てるのか、この絵本で初めて知りました。
ダンゴムシは、おなかのうすいまくの中に卵をうむんです。
ダンゴムシといえばまるくなる、というイメージがありますが、おなかに卵を抱えているときにはまるまることができません。
だんちゃんは誰にも見つからないように、落ち葉に包まれている。
たまごもだんちゃんに包まれている。
この場面では、そのひっそりとした感じを出したいと思い、版画のローラーを使って、場面全体を青のインクでとじこめました。
だんちゃんを守るような気持ちで描いた場面です。
――最後に、読者のみなさんへ一言お願いします。
ダンゴムシは春に出てくるイメージが強いかもしれませんが、冬も植木鉢の下など、私たちの身近なところにいます。いつもそばにいてくれる虫です。
よく見ると、ダンゴムシの色やもようはさまざま。この黄色いもようはメスのダンゴムシかな、このダンゴムシはまだ子どもかな、と見ているうちに、きっとダンゴムシの個性も見えてきて、もっとダンゴムシのことが好きになると思います。絵本を読んだあと、ぜひ、みなさんのまわりにいるだんちゃんにも会いにいってください。
――おはなし、ありがとうございました。
「むしのたまごシリーズ」は、既刊に『かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!』、『かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!』、『とんぼの ぎんちゃん うまれたよ!』の3冊が刊行されています。
ぜひあわせてお楽しみください。
3歳から/各29ページ