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独善の価値観は戦争を好む

 宇宙人は政局には関心がないが、政治家の文化背景が政策に影響するといった人文的な分析には大いに興味がある。佐藤優と鈴木宗男の仲良しコンビ対談『最後の停戦論~ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体』は、まだバイデンが大統領再選にやる気満々だった昨年2023年の出版だが、以下のような佐藤氏の指摘には興味をそそられる。

――これはあまり指摘する人がいないのだけれど、バイデン大統領がカトリックだということも非常に関係していると思います。カトリックは普遍主義です。一方トランプ氏は典型的なカルバン派のプロテスタントです。プロテスタントの考え方というのは、旧約聖書を重視する。旧約聖書における「帝国」とは、すべて悪いものを指します。アッシリアやバビロニアですね。それとユダヤ人は、自らが神に元々与えられた土地だけを守っていればいいという考え方です。こうした思想の影響を、カルバンやルターは受けている。だから自分の国だけ守っていればいい、外に出ていくという発想があまりないわけです。逆にカトリックは普遍的であり、単一の原理で世界を支配するということが原理です。だからアメリカでカトリックの大統領だったのは過去に2人しかいない。ケネディとバイデンだけです。ケネディ時代の62年にキューバ危機が起きたことと、今回バイデンの時にウクライナ戦争が起きていることを、私は偶然とは思えないのです。「正しさ」という価値観で世界全体を覆わないといけない、というカトリック的な考えが非常に影響している。それは独善的である。――

 キリスト教国ではない日本にとってはどちらの発想とも縁がないが、米国という国はこうした価値基準で人物や物事を評価したり重大事項を決定したりするものだ、という点は押さえておいた方がいい。正直言って、宇宙人は非キリスト教国とは無縁なこうしたルールで動く大国の意向に振り回される日常から脱したいと思う。いや個人的なアタマは元より脱しているつもりだし、恐らく多くの日本人もこんな価値観を聞いても退屈でピンと来ないと思うけど、例えば米国ハリウッドの映画って逐一こういう独善基準で話が進んでいるのに、日本人はわざわざカネを払ってそれを観てしまう。観て主人公の主義主張に皆さんは納得しているのでしょうか。宇宙人は全然共感できなくて頭がねじれるばかりなので、もう随分前から観なくなっているのだが。真田広之氏が白人原作の『SHOGUN』でフィーバーしているが、米国でウケるよう作られた彼の作品が、果たして本人が目指したように「普遍的」な仕上がりになっているかどうか大いに疑問である。宇宙人ほどでないにしても誰か米国から距離を取っている人に視聴してもらって、中立的な意見が聞けたら宇宙人も観てみようかな。

 佐藤優氏は『米ロ対立100年史』という本も書いていて、こちらも分析が深く冴えている。ロシアもまたキリスト教国ではあるが、正教会なので米国的カトリックやプロテスタントとは随分違うルールで動く民族なのだと知れる良書だ。宇宙人はロシア映画を観ていてもその価値基準に共感できなくてリタイアするということはない。価値基準は確かに日本のそれとは異なるが、米国の大統領や映画のように独善的ではないし、西洋諸国のような人種差別や異教徒差別も基本的に見当たらないから、宇宙人の頭のねじれはせいぜい半回転止まりで、最後まで視聴していられる。
 ちなみにバイデンの降板で大統領候補にのし上がったカマラ・ハリス氏は、「両親がジャマイカとインドからの移民で、主要政党の副大統領候補としては初めての黒人女性かつアジア系となる。本人はプロテスタントの南部バプテスト連盟に属するが、母親はヒンドゥー教徒で夫はユダヤ人と幅広い宗教的背景を有することから、宗教的にさまざまな層から支持が得られることが期待されている」とのプロフィールが公開されている。一人の人間に盛り込まれているバックグラウンドがちゃんぽん過ぎて、宇宙人は像を結べない。ちゃんぽんだからという理由で「さまざまな層から支持を得られる」ものだろうか? この記述そのものに頭をねじれさせる宇宙人。あ、人物像が結べない時こそ算命学を活用してみよう。

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