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算命学余話 #R31「良妻賢母を考える」/バックナンバー

 報道で「妊娠菌」という気持ちの悪い言葉を知りました。妊婦に近付いたり妊婦が触った物をもらったりすると妊娠しやすくなるという言い伝えに基づき、現役の妊婦が小袋に詰めた米やら何やらを「妊娠菌」付きと称してネット販売する商法だそうです。言い伝え自体の信憑性はともかく、こんなものはいくらでも偽造できるので、うっかり買う人の判断力の欠如にまず気持ち悪くなったのと、妊娠菌どころか下半身のなにがしかの分泌物でも付着しているのではないかと連想させる衛生上・生理上の気持ち悪さが、例えば少し前に流行った、女子高生が小遣い欲しさに一度履いたパンツをネット販売するという変態向け商法と同じくらいの不快感を、筆者に催させました。
 尤も、このような商法なり行為なりが世間に存在するのは需要があるからですし、パンツ購入者は変態としても、妊娠菌購入者は百歩譲って変態ではないかもしれない。しかし愚かではあります。そうです、愚行は常に社会に存在し、それを愚行だと認識する人とそうでない人と両方いるのです。それが陰陽というものです。

 毎度繰り返しになりますが、世間の常識あるいは個人の常識や良識といったものは、算命学的に云えば物事の陰陽のどちらか一方です。ということは、個人あるいは世間が「こうだ」と考えている常識なり良識なり価値基準というものは、必ずその逆があるということです。その陰陽反転した対象が「気持ち悪い」と感じられた場合を、私たちは「変態」とか「愚行」とか呼んでいるにすぎません。向こう側の人間からすれば、自分たちが変態とか愚かとか呼ばれる意味が判らないのです。
 陰陽両者は常に対立し、それぞれの主張は一致を見ません。ただ、陰と陽の境目が曖昧であることから、その境目近辺に立って両者を眺めることで、どちらか一方の色に自ら完全に染まってしまうことを避けることができます。算命学を駆使して宿命なり世界なりを把握したいという志のある人たちには、自分自身がどちらの価値基準に身を置くかは別として、こうした中立の立場で物事を客観視できる目を育てる工夫が必要です。逆に云えば、自分自身の立脚点を最善と見做して「100%こうだ」と断言してしまう運命論者は、算命学者としては失格ということになります。算命学者には、自らの立脚点をも疑い、仮のものに過ぎないのだと冷ややかに認める態度が必要なのです。

 さて、筆者は上述の商法に引っ掛かる消費者を「愚か」だと判断しています。ただし、妊婦に近付いたり会話したりすることによって女性が性行為を意識し、そのことによって夫との子作りの機会が増えるという意味では、言い伝えに根拠がないとは言えないと思います。しかしそうしたかすかな因果関係を誇張して不妊に悩む夫婦から儲けようという売り手の魂胆と、それに乗ってしまう買い手の頭の弱さに、愚かさの相乗効果を見る思いがします。
 子を授かろうとする妊婦は五徳のうちの寿に支配されてますし、ラクに儲けようという魂胆は禄に支配されてます。寿は火性、禄は土性ですから、火生土と相生関係にあり、両者は相乗効果があります。他方、これらと相剋関係にある水性は知性を司っていますから、この場合の火性と土性は知性と対立し、知性から遠く離れることになります。妊娠菌を売り買いする行為には、賢明さのかけらもありません。それが知性を保持している世間一般の人たちに不快感を与えているのです。

 算命学の理論に「立脚」している私に云わせれば、得体の知れない妊娠菌をネット購入するよりも、いっそ夫と共にAVでも見た方が効果が高いと思われますし、もっと専門的に云うならば、妊娠しやすい時期を後天運から探ってその時期を狙って仕込んだ方が更に可能性は高まります。
 ここ3回ほどの家系にまつわる余話のテーマでも扱いましたが、子供が生まれにくい時期というのもありますから、そういう時期に子作りに励んでも効果は薄いです。そういう時期とは知らずに不妊治療するよりは、妊娠しやすい時期にした方が確率はずっと高まります。算命学の技術とは、本来このように使うべきものなのです。

 前回の余話は、最後の方で天庫星の二連変化について触れましたが、このように十二大従星の二連変化は、星に対応した人間の成長度がよりはっきり発現するものがいくつかあります。今回はそんな二連変化を紹介しつつ、星の理解を深めようと思います。やや専門的なので、購読料にご注意下さい。

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