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ニャリヒラはいるか

 先日の琵琶会で宇宙人は『敦盛』を演奏した。出来は想定内というか、やっぱり技術がおいつかず、つっかえたりやり直したりする宇宙人。先生は常々「間違えてもそのまま弾き続けなさい。戻ってやり直してはいけない」と言っているが、今回もこの教えを守れなかった。打上げの席で弁明する宇宙人。
宇:だって空振りするんだもん。間違え以前の問題ですよ。
先生:いや、音楽は時間の流れに沿ったものだから、間違えても気にせずそのまま流れを保たないと。引き返してやり直せば時間の流れに合わなくなる。
宇:でも空振りだと音が出ないです。
先生:空振りしても平気だよ。基音となる音が残響で残っていれば、音は繋がる。
宇:その肝心の基音を空振りしているんです! この音は外してはダメだろう、という音が出ていないからやり直すんです!
先生:……(さすがの先生も黙る宇宙人の演奏レベルなのだった。)

 ところで平敦盛を討ち取った熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)は「〽武蔵の国の熊谷は~」と宇宙人も謡った通り、埼玉の熊谷(くまがや)が本拠地だった武将なのだが、この直実にちなんで熊谷市のゆるキャラは「ニャオざね」というネコなのだった。ニャオざね…鎌倉武士も大変だな。地域の子孫たちのためにネコにまでなるなんて。
 『敦盛』は能の演目にもあるので、能の先生にこの話をしてみた。能稽古はちょうど『井筒』をやっていて、これは在原業平の元カノの話。
宇:何でもネコにすれば許されるんですかね。彦根のヒコニャンは成功したけど、その後は二番煎じのパチネコばかりな気がします。
先生:あ、じゃあもしかして在原業平もニャリヒラとかいってネコになっているのかな?
宇:ニャリヒラ! やりかねん! 既に在原寺のお守りストラップになってるかも!

 というわけで、在原寺近辺の皆さん、ニャリヒラ情報お待ちしております。ちなみに東京スカイツリーの開業に伴い業平ゆかりの地に立つ駅の名が「業平橋」から「とうきょうスカイツリー駅」に改名された件で、宇宙人と能の先生は大層立腹したのであるが、ニャリヒラグッズで在原寺が経済効果を上げるなら、旧駅名が復活するやもしれぬ。ネコぢからはあなどれん。かくいう宇宙人の町内にもクロネコヤマトの人力配送車に「ネコロジー」の文字が。いつの間に!

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