人間の生活世界が徐々に私的になりつつあると感じる。 道を行き交う人々は首を丸めスマートフォンの情報を摂取する。あらゆる事物が発する、存在が、人工的に彩られた記号に覆い尽くされている。人々は目の前の樹木よりも、ソーシャルメディアの切り取られた樹木をスワイプする。もちろん、目の前の午後の心地よい風や朝の小鳥の鳴き声を感受し、自らがその自然一体となることに身を委ねる行為は現に全ての人に多くあるだろう。 しかし、その観想的な時間は徐々に隅に追いやられている。あらゆるものが生産的な価値