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過去作「「Enter Sandman(Live in Moscow 1991)」

※「音楽小説集(現在凍結中)」に「Enter Sandman(Live in Moscow 1991)」METALLICA として投稿したものの再掲載になります。上の子が小学一年生の時の授業参観の様子です。今では五歳年下の下の子が一年生になっているわけで、時の経過を感じます。メンバーシップ加入で全文読めます。


以下本文。脚注は当時のもの。

※今回の内容は娘の小学校の授業参観を元ネタにしていますが、しばらく前の事なので記憶が曖昧な部分もあり、百パーセント事実ではない箇所もあります。ご了承下さい。また、物語の構成上やむにやまれぬ事情により、小学校の実名が出ておりますが、個人特定などなされぬよう、お願い致します。
 

 娘の通うマッドカプセルマーケッツ小学校の授業参観に行ってきた。今回は音楽の授業という事もあり、教室の壁には、それぞれの子供達が思う「三大ギタリスト」の名前を書いた紙が貼られていた。確かに誰と誰と誰が「三大ギタリスト」であるかは、人によって違うのだ。ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックなんて言っても今の小学生には通用しない。その親の世代にだってそうだ。

 ある生徒はこう書いていた。
「ランディ・ローズ」
「ジェイク・E・リー」
「ザック・ワイルド」
 オジー・オズボーンのファンであろう。

 別の子はこうだ。
「ディープ・パープル時代のリッチー・ブラックモア」
「レインボー時代のリッチー・ブラックモア」
「リッチー・ブラックモアズ・レインボー時代のリッチー・ブラックモア」
 彼にとってギタリストはリッチー・ブラックモア以外いないのだろう。

 ちなみにうちの娘のココにとっての三大ギタリストは
「パパ」
「ママ」
「健ちゃん(弟)」
であった。

「それでは皆さん教科書を開いて下さい」BUCK-TICKの今井寿似の先生(女性)の一声で授業が始まった。
「前回の授業で何を習ったか言える人はいますか?」モヒカン姿の男子生徒が手を挙げる。
「スラッシュ・メタル四天王の話です! メタリカ! メガデス! アンスラックス! スレイヤー!」
「よく出来ました。今日は保護者の方も一緒に、今名前の出たメタリカのライブ映像を見ていただき、感想を言い合っていこうと思います」
 教室のカーテンが引かれ、電気が消える。モニタに写し出されたのは、1991年当時まだソビエト連邦共和国と呼ばれていた国(現ロシア)で行われた狂熱の記録だった。

 曲が終わり、カーテンが開かれる。ソビエト連邦の鉄のカーテンが開かれたのはこのライブの3か月後の事である。

「では、それぞれ思った事を発表して下さい」
 はい、はい、と勢いよく皆の手が上がる。いきなり娘のココに当てられた。
「見てる人のすぐ上をヘリコプターが飛んでいて、危ないと思いました」
「そうですね。ステージのすぐ上を舐めるようにヘリが飛んでましたね。非常に危ないと思います。当時はよくありました、なんて事はなく、今でも昔でも異様な事です。では他に」

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