UIデザインの最後の砦、堅牢なエラーメッセージの書き方
エラーメッセージとは?守りのデザイン
プロダクトデザインにおいて、エラーメッセージは「守りのデザイン(ディフェンシブ・ウェブデザイン)」として非常に重要な役割を果たします。エラーメッセージは、ユーザーが何かしらの問題に直面した際、その原因と解決策を明示することで、ユーザー体験を支える要素です。
どれほど優れたプロダクトでも、エラーが一切発生しない完璧な状態を維持することは現実的ではありません。技術的な制約やユーザーの操作ミスなど、エラーの原因は多岐にわたります。そのため、重要なのは「問題が発生しないようにすること」ではなく、「問題が発生した際にいかに迅速かつスムーズに復帰できるか」です。
エラーメッセージの基本構造
良いエラーメッセージは以下の3つの要素で構成されています。
「何」が起こったのか(問題の特定)
「なぜ」起こったのか(原因の説明)
「どうやって」復帰させるのか(解決策の提示)
この構造に基づいて設計されたエラーメッセージは、ユーザーが問題を理解し、迅速に解決できるように導きます。たとえば、アンケートの必須項目「氏名」が未入力の場合、以下のようなエラーメッセージが適切です。
このメッセージでは、「何」(氏名が未入力)、「どうやって」(入力してください)の要素が含まれており、ユーザーは原因と復帰方法を直感的に理解できます。これにより、スムーズな操作が可能になり、ユーザーの満足度向上や問い合わせの減少といった効果が期待されます。
シンプルさとコンパクトさが鍵
エラーメッセージは簡潔でシンプルに記述する必要があります。理由は以下の通りです。
UIの制約
デザイン上、画面スペースは限られているため、長文のエラーメッセージは表示に適しません。重要情報の明確化:
長すぎるメッセージは、本当に必要な情報を埋もれさせ、ユーザーを混乱させます。
したがって、情報を必要最小限に絞り、伝えるべき内容を明確にすることが求められます。どうしても補足が必要な場合は、ヘルプページや詳細な説明へのリンクを設置することで、UIを簡素に保ちながら情報の補完を行うことが可能です。
表現のブレをなくすためのテンプレート活用
エラーメッセージに一貫性を持たせるために、テンプレートを活用することをおすすめします。一貫性のあるメッセージはユーザーの認知負荷を軽減し、プロダクト全体の信頼性を向上させます。
テンプレート例:
{{名詞}}が{{動詞(動作)}}に失敗しました。
このテンプレートを使用することで、以下のような表現のばらつきを防ぐことができます。
失敗しています
出来ませんでした
できませんでした
例えば、「ファイルのアップロードに失敗した場合」には以下のように記述します。
テンプレートに基づいたエラーメッセージは、プロダクト全体の統一感を保ち、ユーザーが異なるメッセージに直面した際の混乱を防ぎます。
まとめ
エラーメッセージは単なるトラブル通知ではなく、ユーザー体験を向上させる重要なデザイン要素です。エラーが発生しないプロダクトを目指すのではなく、エラーから迅速に復帰できるプロダクトを目指すことが求められます。
そのためには以下のポイントを押さえることが重要です。
問題の特定、原因の説明、解決策の提示を含める
メッセージを簡潔かつ明確に記述する
テンプレートを活用して表現の一貫性を保つ
これらを意識してエラーメッセージを設計することで、使いやすく信頼性の高いプロダクトを実現することができます。
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