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UIデザインでも使える命名規則、フロントとの共創
命名規則は、なぜ重要なのか?
開発チームの生産性を左右するのは、コードの質だけではない。コードの「名前の付け方」も、プロジェクト全体の効率や可読性に大きな影響を与える。
命名規則がバラバラだと、変数や関数を見ても意図がわからず、読み手が混乱する。結果として、開発スピードが落ち、バグが生まれやすくなる。逆に、ルールを整えておけば、誰が書いても一貫性が保たれ、コードの理解や修正がスムーズになる。
では、命名規則のメリットとデメリットを整理してみましょう。
命名規則のメリット
✅ コードの一貫性が保たれる
命名にルールがあると、プロジェクト全体のコードスタイルが統一される。異なるメンバーが書いても違和感がなく、後から見返してもスムーズに理解できる。
✅ 可読性が向上する
意味のある名前をつけることで、コードの意図が伝わりやすくなる。例えば、getUserData() という関数があれば、「ユーザーデータを取得する処理」とすぐに分かる。
✅ バグのリスクが減る
明確なルールがあると、変数や関数名の重複を避けやすくなる。誤って別の変数を参照するミスも減り、バグの発生率が下がる。
✅ チームワークが向上する
統一されたルールがあれば、新しくチームに入ったメンバーも、すぐにコードを理解できる。結果として、開発のスピードが上がる。
✅ メンテナンスがしやすくなる
命名が適切であれば、時間が経ってもコードの意図が伝わる。将来的な修正や拡張もスムーズに行える。
命名規則のデメリット
⚠️ 柔軟性が下がる
厳密なルールを守ろうとすると、状況に応じた最適な命名がしにくくなることがある。「ルールだから」と考えるあまり、直感的な名前を避けてしまうことも。
⚠️ 時間がかかる
最適な名前を考えるのは、意外と時間がかかる。特に、新しい機能を設計するときは、どの命名ルールに従うべきか迷うこともある。
⚠️ 一貫性を維持するのが難しい
プロジェクトが進むにつれ、最初に決めた命名ルールが適切でなくなることもある。メンバーが増えると、命名のクセがズレていく可能性もあり、定期的な見直しが必要になる。
⚠️ ルールが複雑すぎると逆効果
細かすぎるルールを設定すると、逆に覚えるのが大変になる。「どのパターンに従えばいいのか?」と迷う時間が増え、開発の妨げになることも。
⚠️ 新しいメンバーにとって負担になる
複雑なルールがあると、新しく入ったメンバーが慣れるまでに時間がかかる。ルールのドキュメントが整備されていないと、理解するのに余計なコストがかかる。
命名規則は「適度なルール設計」がカギ
命名規則は、厳密にしすぎても、適当すぎても問題が起きる。大事なのは、チームの開発スタイルに合わせて「適度なルール」を設計すること。
「統一感がありつつ、直感的に理解できる」命名ルールを決めることで、開発のスムーズさと品質を両立できる。
ルールは「縛るため」ではなく、「開発を加速させるため」にある。
その視点を忘れずに、命名規則を見直してみよう。
命名規則の基本パターン
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命名の際には、以下のような命名方法が一般的に使用されます。
スネークケース(snake_case)
単語をアンダースコア(_)で繋げ、小文字で表記します。主にPythonやデータベースで使用されます。
user_profile
ケバブケース(kebab-case)
単語をハイフン(-)で繋げ、小文字で表記します。URLやファイル名でよく使用されます。
user-profile
アッパースネークケース(UPPER_SNAKE_CASE)
スネークケースのようにアンダースコアで繋げますが、すべての単語を大文字で書きます。主に定数や環境変数の名前に使われます。
MAX_LIMIT
ハンガリアンノーテーション(Hungarian Notation)
変数名の先頭に型や目的を示すプレフィックスを付ける命名規則です。
strUserName
フラットケース(flat_case)
単語をそのまま繋げて、特に区切りを入れない方法です。一般的ではありませんが、一部のプロジェクトで使用されることがあります。
userprofile
パスカルケース(PascalCase)
各単語の最初の文字を大文字で表記し、スペースや区切り文字を使用しません。クラス名やコンポーネント名でよく使用されます。
UserProfile
キャメルケース(camelCase)
最初の単語は小文字で、その後の単語の最初の文字を大文字にする形式です。主に変数名や関数名でよく使用されます。
userProfile
トライアルケース(TrialCase)
あまり一般的ではない命名規則ですが、単語の先頭をすべて大文字にし、その後は小文字で続ける方法です。
UserProfile
命名規則に基づいた作成例
以下は、具体的な命名規則に基づいた作成例です。
ボタンコンポーネント(Button)
HomeButtonPrimaryFilled: ホームページ用プライマリボタン(背景塗りつぶし)
HeaderButtonDisabled: ヘッダー用無効なボタン
入力フィールド(Input)
LoginInputDefault: ログイン用デフォルト入力フィールド
SignupInputError: サインアップ用エラー状態入力フィールド
カードコンポーネント(Card)
ProductCardPrimaryOutlined: 商品カード(プライマリ、アウトライン)
UserCardSuccessFilled: ユーザー情報カード(成功状態)
モーダル(Modal)
ModalConfirmation: 確認モーダル
ModalError: エラーモーダル
テーブルコンポーネント(Table)
DashboardTableDefault: ダッシュボード用デフォルトのテーブル
ProductTableError: 商品テーブル(エラー状態)
サイドバー(Sidebar)
AppSidebarMain: アプリ用メインサイドバー
MobileSidebarResponsive: モバイル用レスポンシブサイドバー
ダイアログ(Dialog)
DialogConfirmation: 確認ダイアログ
DialogInfo: 情報ダイアログ
通知(Alert/Toast)
AlertSuccess: 成功アラート
ToastNotification: 通知トースト
ファイル名にも、意味を持たせる
ファイル名にルールがあると、「このファイル、何をするもの?」と迷う時間が減る。開発者が一目で役割や使いどころを把握できるようになり、結果として開発効率が上がる。
基本の命名ルールは、「コンテキスト+エレメント+バリアント」 の順番。
たとえば、Dashboard_Card_Primary という名前なら、「ダッシュボード用のカードで、プライマリバージョン」だとすぐに分かる。
こうしたルールを統一しておけば、探す手間も減り、ファイルの重複も防げる。コードだけでなく、ファイル名にも「意味」を持たせることが大切。
コンテキスト
Home: ホームページ
Dashboard: ダッシュボードページ
Profile: ユーザープロフィール
Settings: 設定ページ
コンポーネント/セクション
Header: ヘッダーセクション
Footer: フッターセクション
Sidebar: サイドバー
Main: メインコンテンツ
機能/操作
Login: ログイン機能
Signup: サインアップ機能
Search: 検索機能
Filter: フィルタリング機能
ページの状態やモード
Loading: ロード中の状態
Error: エラー状態
Empty: 空の状態(データがない)
Success: 成功状態
まとめ
命名規則は、開発チーム全体の作業効率に影響します。最初にルールを決めておくことで、後々の迷いや混乱を減らせるかもしれません。適切な命名がされていると、コードを読むときの負担が減り、開発のスピードも自然と上がるはずです。
ただ、ルールが厳しすぎると、逆に柔軟性を失い、チームの動きが鈍くなることもあります。大事なのは、プロジェクトやチームの規模に合わせて、ちょうどよい命名ルールを設計すること。そして、必要に応じて見直し、最適なリズムを保つこと。
ルールは固定するものではなく、チームが心地よく開発できるように調整していくものかもしれません。
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![アオキタカユキ / iCARE UI Designer](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163751700/profile_80774a7257a7ce39bef9e5657697cf08.jpg?width=600&crop=1:1,smart)