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ソーシャルチェンジのための指標

ポートランド州立大学の「Artist as Citizen」のクラスで、とても興味深い指標を学んだので、シェアします。

The Social Change Ecosytem Map/ソーシャルチェンジ(社会変革)エコシステムマップ」つまり、社会変革のために必要なものを可視化したものです。(Deepa Iyer, Building Movement Project. SM, © 2020 Deepa Iyer. All rights reserved. All prior licenses revoked. )

”社会を変える活動”のための指標

ソーシャルチェンジのための活動というのは、それぞれさまざまな立場とタイミングから気づきやきっかけを得て参加し、それぞれが異なる役割を担います。時には既存のシステムや権威に圧倒されたり、迷ったり、また、燃え尽きてしまうこともあります。ソーシャルチェンジのアクションに初めて参加する人々は、どこから始めればいいか分からないこともあるでしょうし、コミュニティの危機的状況に直面して行動を起こす人もいます。

この図は、個人・ネットワーク・組織が、ソーシャルチェンジの価値観や個々の役割、より広い(エコ)システムと一致させるための枠組みです。

あなたはどの役割を担っていますか?ひとつの役割だけでは無いかもしれません。むしろ、多くの人が複数の役割を担っているでしょう。

Deepa Iyer(BMPの戦略イニシアティブシニアディレクター)が最初に2018年に開発したもので、2020年のバージョンは彼女の新しいテキストを組み込んでいます。

Deepa Iyer, Building Movement Project. SM, © 2020 Deepa Iyer.
All rights reserved. All prior licenses revoked.

Weavers(繋ぎ手):人々、場所、組織、アイデア、運動の間にある繋がりを見つけ、橋渡しをします。

Experimenters(実験者):革新を起こし、先駆者としてリスクを取りながら新しいアイデアを試します。必要に応じて軌道修正を行います。

Frontline Responders(フロントライン対応者):コミュニティの危機に対処し、リソースやネットワーク、メッセージを調整・組織化します。

Visionaries(ビジョナリー):大胆な可能性や希望、夢を描き、私たちに進むべき方向を示します。

Builders(ビルダー):アイデアや実践、人材、リソースをまとめ、集団のビジョンに向かって組織・実行します。

Caregivers(ケアギバー):周囲の人々をケアし、喜びと繋がりのコミュニティを育み続けます。

Disruptors(変革者):現状に疑問を投げかけ、リスクを取って意識を喚起し、権力を築きます。

Healers(ヒーラー):抑圧的なシステムや制度、政策、慣行が引き起こした世代間のトラウマや現在のトラウマに対処します。

Storytellers(ストーリーテラー):コミュニティの物語、文化、経験、歴史、可能性を芸術や音楽、メディア、運動を通じて伝えます。

Guides(ガイド):知識と経験に基づいた洞察と知恵を使って教え、助言を与えます。

振り返りガイド

自分の役割を認識した上で、下記の質問に答えて見ましょう。

  • どの価値観があなたに響きますか?
    マップの中央にある価値観 [ Equity(公平)Liberation(解放・自由)Justice(正義)Solidarty(連帯・連携)]の中で自分に共鳴するものはどれですか。または、自分に合った他の価値観を追加しても構いません。これらの価値観と最も一致するのはどのような瞬間ですか?

  • 何を変えようとしていますか?
    それは権力のシステム、考え方、または政策ですか?具体的な問題、キャンペーン、または危機(COVID-19、黒人コミュニティとの連帯、移民の権利、選挙後の対応など)についても考えてみてください。

  • 自分の役割を特定しよう
    マップ上で最も頻繁に自分が担っている役割を見つけ、その円の中に自分の名前を書きましょう。必要に応じて新しい円を追加し、それに役割をラベル付けします(職業名ではなく役割名)。文脈に応じて複数の役割を果たしている場合もあります。

  • どの役割が最も自然に感じられますか?
    どの役割が自分を生き生きとさせますか?それらの違いを探求し、自分の役割がどのように以前選んだ価値観を体現しているかを反映させましょう。

  • 役割の影響
    その役割を果たすことがあなたにどのような影響を与えていますか?(身体的、エネルギー的、感情的、精神的に)誰が、または何があなたを支えていますか?

  • 夢を見る頻度はどのくらいですか?
    繰り返しや妥協、犠牲があなたの役割にどのように影響していますか?

  • 役割と特権・権力の関係
    特定の役割でスペースを取りすぎている、または不足していると感じたことはありますか?

  • エコシステム内の自分の物語
    マップや反映を見直して、どのような物語が浮かび上がってきますか?自分を伸ばす方法や大胆なリスクを取るべき領域はどこですか?

  • 燃え尽きと持続可能性
    社会的な変革は、充実感を与えてくれる一方で、時に心身を疲弊させることもあります。燃え尽きや疲労を感じることは自然なことです。何世代にもわたって抑圧を受けてきた人々は、そのトラウマが行動や反応に現れることがあります。また、危機の時には、混乱、疲労、そして無感覚に陥ることがあり、それらの反応も自然なものです。私たちは、その根本や引き金を知り、持続可能な自己ケアの計画を立て、自分自身と他者をケアすることができます。

    社会変革の仕事で疲弊した時を振り返ってみましょう。何がその経験につながったのか、そしてどうやって対処したのかを考えてみてください。

    現在の役割やエコシステムについて知っていることを踏まえ、困難な時期に自分を支えるためにできることを考えてみましょう(例:境界線を設定する、メンターに頼る、助けを求める、役割を変える、休みを取るなど)。

    次に、エコシステム内で支援できる人について考え、その人と定期的に連絡を取り合う方法を考えてみましょう。

エコシステムと繋がり

ソーシャルチェンジは、個人レベルで孤立して行われるものではありません。他者とのつながりがあることで初めて実現されます。

私たちの身体、自然、そして組織すべてがエコシステムを形成しているのです。グレース・リー・ボッグスは次のように述べています。「私たちの小さな活動が、つながりの見えない織物を通じて他者にどのように影響を与えるかは分からない。この精巧に結びついた世界では、『臨界質量』というよりも『臨界的つながり』が重要なのです。」

  • あなたは誰とつながっていますか?彼らはどのような役割を果たしていますか?まず、あなたの身近なエコシステム(通常はあなたの組織)から始め、次にメンター、サポーター、共謀者、友人、同僚など、組織外の人々へと視点を広げてください。もし組織の視点からマップを作成している場合、スタッフやボランティアが自身をマッピングするか、またはコアリションやネットワークの一員としてパートナーや仲間をマッピングすることもできます。

  • マップの中央にある円[ Equity(公平)Liberation(解放・自由)Justice(正義)Solidarty(連帯・連携)]は、私たちが作りたいと願っているコミュニティや世界の価値観を示しています。どの価値観があなたのエコシステムに共鳴していますか?その理由は?あなたのエコシステムは、正義、解放、連帯、包摂が実現するための条件をどのように作り出していますか?

  • 完全なエコシステムとその中でのあなたの役割を見直したとき、何が浮かび上がりますか?

効果的で健康的、かつ持続可能な社会変革エコシステムには、多様な役割を果たす人々が必要です。


方向性と願望の調整

私たちは皆、特にコミュニティの危機に直面した時に、自分の役割に戸惑い、迷うことがあります。あなたが自分の役割に違和感を覚えたとき、どのようにしてリセットできますか?誰に相談して指導を受けることができますか?役割と価値観が一致していると感じたとき、どのように感じますか?

上記の振り返りを基に、試してみたい目標を2つ設定しましょう。1つはSMART [Specific(具体的), Measurable(測定可能), Achievable(達成可能), Relevant(適切), Timely(タイムリー)]な目標を、もう1つはB-HAG(Big, Hairy, Audacious, Goal/大胆で野心的な目標)を設定してください。定期的に進捗を確認し、可能であればパートナー、コーチ、またはチームメンバーと協力して責任と勢いを保ちましょう。

最後に

以上が、クラスの中で紹介されたツールのひとつ「The Social Change Ecosystem Map」です。いかがでしたか?

クラスではこういったツールや文献、動画などをもとにディスカションを行い、異なる人間の視点や思考を学びながら、その時のトピックについて深掘りをしています。

参考になれば幸いです。


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