ブックレビュー『女は太もも』
田辺聖子さんの『女は太もも』を読んだ。
下ネタ満載のエッセイなのだが、田辺さんの人柄なのか、計算しつくされた文章力だからなのか、はたまたカモカのおっちゃんとの掛け合いがユーモアたっぷりだからか、下ネタなのに全く下品な印象はなく、むしろ、こんな風に男と女の性について楽しく話せる友人がいることへの憧れすら覚えた。
男女の性欲の違いは、昔より色々と目にする機会の増えた時代ではあるが、やはり性のことをあっけらかんと異性と話すことへの抵抗はあるし、まして同性でも性に関する話題というのは限られた友達の間に限る。
だから、この二人の会話のようにお互いの立場を批判することなく、その違いを笑いに変えて、その会話を酒の肴に楽しんでいる風景は、なんとも成熟した大人の男女だと感じる。
こういう極上のエッセイは時間を忘れる。男女ともにオススメです。