『生きて帰ってきた男』小熊英二 著を読んで

歴史とは

この本を読むと、歴史とは何かが分かる。歴史とは、「語り手と聞き手の相互作用によって作られるもの」である。我々の存在根拠は、他者や過去との相互作用によってしか得られないのだ。

ストーリー

小熊英二氏が父である謙二氏にインタビューを行い、戦前、戦中、戦後の日本社会や生活様式について綴った作品である。特に、シベリア抑留から帰国した際の賠償裁判の話は興味深かった。

謙二氏曰く

「大体、国のために戦うとは生命を失うこともある行動です。それは命令された或いは志願するか別として、国家と個人とか契約する一種の雇用関係だと思います。」

日本は、戦争の被害は国民が等しく受任しなければならないとし、被害者への補償はしない姿勢を取っていた。

最近のこと

旧優生保護法が違憲だとして、被害者が国に損害賠償を求めたニュースは記憶に新しい。それが単なる「慰め」ではなく、本質的な「補償」であり「謝罪」であって欲しいと切に願う。


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