
瀉血する☆
鉄錆色の夕焼けが沈殿してくる
これは仮象の論理學
が瀉血する色だ
俯くヴィーナス
には顔がない
共鳴する音の快楽
が青ざめた虚空を
上の水と下の水に分けた
神は虚空の界面を天と呼んだ
人間は天から堕ちてきた
するりと
空間の中の純粋なゲシュタルト
宇宙の形象としての人間
・・・つまり、あなたはこう言いたいのですね。原初の人間は分節化した熱であったと。創造の六日目にエロヒムがつぶやいた。「われわれに似せて人間をつくろう」。いま自らの血管のなかを動き廻る生き物としての熱だけを表象してみてください。その複雑に構造化した熱の現存在が人間身體の始まりだった。
熱とプネウマの肢体=純粋な星の身體が病んでいる
*
重力
蛇の誘惑に負けて
地球に堕ちてくる星が
燃える欲望の肉體に沈む
笑いながら
ぼくたちは楽園から出て行った
今はただ
透明な鱗のような悲しみがびっしりと貼りついた
ぼくの掌のぬくもりが火傷をひきおこすほどに
冷え切った身體がそこにあるのはなぜ?
惑星のレンズから涙が落ちてる
*
大きな犬の舌のような雲が横から伸びてくる
産土神のシリウス
小さな神々の会議
水の滴る聲
星幽体のミイラが並んでいる田圃のわきで
砲身の震える音がする
俯くキャノンボール・アダレイの微音
冥界の農夫が育てている
赤い砲丸を受け取れよ
おまえ!