ホープフルSの結果 ~今年最後を飾る美しい涙~
勝ったのはクロワデュノールであり、間違いなく来年のクラシックの主役の一頭です。
しかし、昨日の主役は彼をエスコートした北村友一騎手でした。彼の勝利ジョッキーインタビューで、もらい泣きしました。
◆ レース展開
戦前の予想と異なり、ジュンアサヒソラがハナを奪って、レースを引っ張りますが、ペースは上がっていきません。
前半1000mは61.4秒でした。このペースに痺れを切らしたかのように、1000m過ぎからファウストラーゼンが一気に最後方付近から捲っていきます。彼は最終的に粘って、3着に残しました。
直線を向いた後は、クロワデュノールの強さが際立ちました。後方から伸びてきたジョバンニに2馬身の差を付けた快勝劇でした。
◆ 1着 クロワデュノール
強かったです。来年のクラシックの主役の1頭です。今回初対決が実現しなかったエリキングと、現状では優劣付け難い存在です。
東スポ杯2歳Sでは、前走から24㎏増と絞り切れていない状態でも、確りと勝ち切りました。
昨日は超が付く好スタートから前走同様に好位に付け、直線でいつの間にか先頭に立ち、残り200mあたりで少し促されると後続を突き放して勝利するという、快勝劇を演じました。
もう一度同じことを書きますが、強かったです。
◆ 2着 ジョバンニ
昨日で4戦1勝2着3回と、2歳で既に善戦ボーイです。
ここ2戦はエリキングに敗れていますが、世代トップの2頭と良い勝負をできる実力を備えています。
前走ではスタートで大きく躓き最後方からのレース運びとなりましたが、昨日は中団やや後方で進むことができました。彼の末脚はなかなか魅力があります。
◆ 北村友一騎手
昨日の主役は北村騎手です。2020年にクロノジェネシスを導き宝塚記念と有馬記念の春秋グランプリ連勝を成し遂げ、翌年年明けには入籍と、公私ともに一層の飛躍が期待されました。
ところが、5月に落馬事故に遭い、背骨を8本も折る重傷を負って1年以上休養しました。
そのため、クロノジェネシスのラスト3戦は、乗ることができていません。
本当に悔しかったと思います。「何してるんだろう、俺」と思ったのではないでしょうか。
昨日の勝利は2020年のクロノジェネシスとの有馬記念以来のG1優勝、また、クロノジェネシスと同一馬主、同一厩舎のクロワデュノールで達成したことで、関係者も北村騎手の復活勝利を信じ切ったのだと感じました。
昨日の勝利ジョッキーインタビューの最後に観客席から大量の拍手をもらうと堰を切ったように涙が溢れ出し、ファンや関係者への感謝の気持ちを述べていました。
涙腺がめっきり弱くなったジジイは、この美しいシーンを観て、もらい泣きしてしまいました。
◆ 秋のG1戦線
何度か話しているので、耳タコだったらすいません。今秋は悔しさの量が多い馬が勝利を得た、感動的なシーズンだったと思います。
そして、今年のJRAのG1は、4年にわたって悔しさを噛みしめてきた北村騎手の勝利と涙という、とても美しく、素晴らしいシーンで締め括られきました。
今年の競馬界は色々ありましたが、とても気持ち良く終えられました。本当にありがとうございました。