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結婚を夢見た恋の終わらせ方。失恋した時に見たくなるアマプラ配信中の韓国ドラマ〜ボラ!デボラ〜

 名前を聞くと、全身に電気が走ったようにドキっとする。偶然街で出会うかもと、無意識的に想像する。実は相手も寄りを戻したいと後悔しているかもしれないと、都合の良いように考えてしまう。

そんな、思い出すには苦すぎる失恋後あるあるを詰め込んだ韓国ドラマ『ボラ!デボラ〜恋にはいつでも本気〜』。現在アマプラで毎週配信中で、残すところ後わずかとなった。

キュンキュンするようなちょっと不器用な大人たちのドキドキラブコメと思いきや、そういうわけでもない。恋の始まりよりも、終わりにスポットを当てて描くのが本作の面白いポイント。「本気の恋をどう終わらせるか」。その過程を描きながら新たな恋への一歩を踏み出す準備期間をほんのり描く。

秋が終わり、冬の訪れを待つ。そんな今の季節に別れを告げ、新しい季節という名の恋を心待ちにするような作品だと思う。

あらすじ

 人気インフルエンサーで、恋愛コーチのヨン・ボラ(ユ・インナ)は、彼ノ・ジュワン(チャンソン)からのプロポーズを心待ちにしていた。「YES!」と答える準備は出来ているのだが、なかなか動きがない彼にじれったく思う日々。そんなある日、偶然彼の家に訪れたボラは、ジュワンの浮気を目撃してしまう。深く傷ついたボラはその場を離れようとするが、その修羅場を出版企画者のイ・スヒョク(ユン・ヒョンミン)が目撃していて……。

見どころ① 失恋あるあるに大共感

 大失恋した時ほどコントロール出来なくなるのが、自分自身。かっこ悪いと分かっていても、すぐに思いを吹っ切ることはなかなか難しい。「時間だけが解決の薬」というような期間の中で、つい体験してしまうのが失恋後ループ。

①身体中の水分がなくなる位まで泣く→②良い記憶ばかり思い出してデートコースを歩いてしまう→③だんだん怒りに変わってくる→④後悔させようと自分を奮い立たせるといった具合に、ここが底だと手が付く瞬間まで悲しんだ後は、次第に気持ちが変化していく。

劇中では、ボラが一歩進んでは一歩下がるような過程あまりにリアルで、過去の記憶を思い出してしまう方もいるはず。まるで自分の物語を見ているような感覚になり、「あの時は本当に辛かったよなぁ……」と、気付けばボラに感情移入をしてしまうような作品だと思う。

見どころ② 心をさらけ出すもう1人のボラ

 元気いっぱいの主人公や、感情豊かな主人公など、様々な性格の主人公が存在するが、あまりにテンションが高いと同じテンションまで持っていくことが出来ず、観ている側が置いてけぼりになることも。本作の主人公ボラも明るいキャラクターであることに違いはないのだが、絶妙な塩梅で心の底をさらけ出すのが魅力のポイント

劇中では、恋愛克服本を出すことになったボラが執筆するたびに、その日その日を振り返るようにナレーションが入る全てを客観的に落ち着いて振り返るもう1人のボラの言葉は、どれもリアルで繊細な言葉選びに心が揺さぶられる。

また、お酒という存在もボラの素が登場するトリガーになっている。新しい恋が始まりそうなバスの中での衝撃の一言からのあのシーンなど笑、斜め上すぎて声を出して笑ってしまう。

そうやって、本当は隠したくなるような一面も、自分を客観視して振り返る一面も見せてくれることで、ボラの人間味溢れるキャラクターに惹かれるのではないだろうか。

見どころ③ 恋愛と失恋。結婚と離婚。

 この物語には、異なる段階にいるカップルや夫婦、元夫婦が登場する。今にも恋が始まりそうな2人。本気の恋を終わらせようとする2人。燃え上がるような恋愛期間が終わり、苦楽を共にする人生のパートナーへと変わってきた2人。そして、互いの弱みを見せきれず、夫婦関係に終止符を打った2人。

恋の始まりから終わりまで、異なるフェーズごとの悩みを赤裸々に描いているのも本作の面白いポイントの一つ。「何のために結婚するのか」「何が理由で離婚したのか」。そんな、ふとした疑問に、思い思いの答えを出していくキャラクターから目が離せなくなって行く。

無理に急ごうとせず、それぞれが少しずつ前へ進んでいく。そして、それで良いじゃないか、と言ってくれるような気がして、安心して見ることができる。

ボラとジュワンのゴミ捨て場前の大喧嘩や、ジュワンの嫉妬からくる百面相のような表情など、見どころを書き出したらきりがない本作。
終わって欲しくない気持ちと、ボラの恋を応援したい気持ちで、最終話の配信を待ちたい。