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【照明店の客人たち】4話まで感想・考察
12月4日より配信が始まった【照明店の客人たち】。Kang Full作家が【ムービング】に続き今回も脚本を担当し、豪華キャストと俳優キム・ヒウォン監督によってドラマ化されるとのことで、期待している方も多いはず。(もちろん、私もそのうちの一人。)このNoteでは、早速4話を観た感想と、個人的ではあるが「こうなのかな……」という考察を、忘れぬよう書き留めていきたいと思う。
※ここから本編の内容を含みます。
ジャンルはややスリラー感が強めで、好みは分かれるかもしれない。ただ4話終わりで一気に線が繋がり始めるのと、細かい描写に考察が止まらなくなり、もう既に続きが観たくて仕方ない。
本作を一言で考えてみると、生と死の境界線を路地裏に喩え、その境界線に立つ人たちが忘れてしまった《帰り道》を探す姿を描く作品なのではないだろうか。帰り道を照らす光を求め、次々と路地裏の照明店に訪れる客人たちは、いつも何かを探している。
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ドラマのポスターをよく見てみると、向いている方向が異なるのがわかる。右を向いている人が、生死の境界線を彷徨っている人。左を向いている人が、死を迎えるも心残りから旅立つことができない人、と考えてみた。まだ背景が明かされていないキャラクターもいるので実際は分からないが、見えるはずのない親と子、男性と女性がこの世界ではすれ違い、触れ合い、会話できることの切なさを感じる。
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自分だけの電球は、帰り道を照らす灯りでもあると思うが、点滅=心拍数であり、電球の中にある電線が心拍数の波形にも見える。生きたいと自分が願い、周囲が願い、それが一つの意思になること。言葉を変えると、生きることへの強い執着と希望が、今この瞬間を生き抜く支えになることを、映し出したかったのかもしれない。
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そして、8という数字に注目してみた。スーツケースを引く女性ジヨンが訪れるマンションが8階であり、看護師ヨンジが務める病院のフロアが8階。書き始めと書き終わりが同じ箇所に到達する数字であり、無限ループのような意味も感じる8。
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この8という場所が、路地裏同様に生と死が交差する場所の一つなのではないだろうか。そしてその境界に立つの案内人のような存在が、チュ・ジフン演じる店主と、パク・ボヨン演じるヨンジなのだろう。
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チュ・ジフン演じる店主の正体はまだ分からないが、凍えた客人が店内の電球を触ろうとすると間接的に彼のサングラスが曇る描写から、彼自身が電球またはこの照明店そのものと繋がっているような関係性なのでは、と思う。
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どこかが違う……と考えずにはいられなくなる登場人物についても、書き残していきたい。学校に通うヒョンジュと同級生の会話をじっくり見て見ると、なぜか目が合わないのだ。4人で会話しているはずなのだが、同級生がまるでヒョンジュを見えていないように話している。これはきっと、ヒョンジュという存在が見えていないのだと思う。夜道で傘を指しているシーンも同様で、ヒョンジュにしか見えていないのだと思う。
唯一学校に取り残された同級生は、うっすらヒョンジュが見え「可愛い」と呟く。照明店の店主がヒョンジュにあげる飴の包み紙を剥いてくれる場面も含めると、ヒョンジュは幼くして事故か事件に巻き込まれこの世界を彷徨い続けているのかもしれない。(ヒョンジュ自身は気づいておらず自分の時間が経過してるので外見も変わっているように見えるが、実際は子どものまま時間が止まっているのかも。)
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ヒョンジュの母であり、ユヒが娘に電球のおつかいを頼む理由も、次第に見え始める。何かの理由でこの世界に居る娘に、どうか帰り道が見えるよう何度も照明店に足を運ばせているのかもしれない、と。
そして、霊安室のシーンで「私一人ですか?」と問いかけ、「よかった。」という場面に胸が締め付けられる。これはきっと、娘はまだ生きていることを確かめたかったのではないだろうか。
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オム・テグ演じるヒョンミンは、なぜか同じ終バスに乗り続け、同じ女性に会う。彼の携帯の画面が割れている描写から、彼はバスの事故に遭ったのかもしれないとふと思う。刑事との関係性もまだ見えていないが、登場人物たちが生死を彷徨うきっかけとなったの事件や事故も一本の線で繋がっていくのか、物語の展開を追っていきたい。
また、ジヨンとの関係性はまだこれからだが、きっと二人には深い過去があるはず。この他にも気になる伏線や細やかな描写にメモが止まらなくなる本作。続きを楽しみに待ちたいと思う。