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時代を超え、光速で走り抜ける漫画『アイシールド21』

2024年に連載開始21周年を迎えて、完結後の読み切りが公開された「アイシールド21」の作品について紹介したい


アイシールド21のあらすじを簡単に説明すると

私立泥門(でいもん)高等学校に通う気弱な高校生、小早川瀬那は入学早々ひょんなことから泥門高校アメフト部「泥門デビルバッツ」に主務として入ることになった。その帰り道、彼をパシリにしていた不良たちに絡まれ、逃れるために泥門駅まで爆走して駆け込み乗車をした。それを目撃したアメフト部主将 ヒル魔に翌日強制的に選手にされ、唯一の取り柄である俊足で選手登録名「アイシールド21」として春大会を戦うことになる。

初戦は助っ人を多数借りながらなんとか勝ったものの、次の試合には強豪「王城ホワイトナイツ」に敗れてしまう。しかしセナは、最強のラインバッカーであるに、心の底から勝ちたいと思い始める。元野球部のモン太を加えて「賊学カメレオンズ」に大勝し、さらに新メンバー雪光、小結、ハァハァ3兄弟(十文字・黒木・戸叶)も加わって「太陽スフィンクス」と引き分けるが、「NASAエイリアンズ」に惜敗。

その後、アメリカに連れてこられたデビルバッツメンバーは、そこで前身「麻黄デビルバッツ」時代のトレーナーどぶろくと会い、強化プログラム「死の行軍(デスマーチ)」で特訓を行う。途中、瀧兄妹と知り合いながらも脱落者0で完走。秋季東京大会を勝ち上がり、そして全国大会決勝(クリスマスボウル)出場を仲間達と共に目指していく。
(引用:Wikipedia)

アイシールド21を読んで学んだことはいろいろとあるが、この作品の最も重要なメッセージは下記3点と思われる。

・自分と向き合い、努力を続けた者にしかたどり着けない境地がある
・一つの才能が多くの才能に恵まれた天才を凌駕することもある
・努力は必ず報われるものではない

この作品は、体格差や身体能力の違いなど、絶対に超えられない壁が存在するが、それが全てではなく、パワー、スピード、タクティクス、あらゆるカードを組み合わせることによって、超えられない壁をぶち壊していく痛快な戦いは、少年漫画、スポーツ漫画に求められている熱い展開のラッシュで、読者の気持ちを盛り上げてくれる。
アメフトという日本人には少し馴染みが薄いスポーツとよく間違われるラグビーとの違いや攻撃と守備がはっきりと分かれるルール、ライン、ラン、キャッチ、キック、クオーターバックといった選手の役割などが理解しやすい形で描かれており、アメフトを知らない人にもお勧めできる最高の作品である。

ただ、この作品の本当に良いと思うところは、どんなに努力を重ねても必ず努力が報われるとは限らないというリアリティの部分にある。
漫画の内容は、いわゆるご都合主義である「奇跡」のような展開が起こったり、努力が必ず報われるというシーンが描かれがちだが、現実は「奇跡」なんて早々起こらないし、努力が報われない場面の方がはるかに多い。

そもそもスポーツ漫画では、主人公側だけでなく相手側も当然努力を行っており、勝敗が決した時点で、片方の努力が報われていないことになる。

しかし、漫画では主人公側の努力だけが一方的に報われ続けることが多く、負けるとしてもそれは次に勝つための布石のような負け方で、読者も今回は負けるだろうと予測がつくものが多いと思う。

ただ、この作品はあれだけの努力をしたのだから絶対勝つだろうという試合でも負けや引き分けになるなど、努力が報われない、もしくは努力の結果、引き分けにまで持ち込めたといった辛口の試合内容も多い。

それは、作中でも他チームから指摘されていることで、派手な作戦や突出した才能で目立たなくなっているが、安定的に勝てるのはあくまで格下か同列の相手で、格上の相手には順当に負けたり、引き分けになることも多く、「奇跡」ではなく、あらゆる手を尽くして、同じく努力を続ける相手にどうやって勝つかを考え抜いた結果が浮き彫りになるといった展開が読めないことも多い内容で、試合はもちろん試合以外の部分の戦いも非常に見ごたえがある作品となっている。

未読の方にはぜひ一度読んで欲しい。

YA-HA-!!


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