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俺なりの「アジャイルな見積もりと計画づくり」


はじめに

これはシンアジャイルコミュニティが運営しているシンアジャマガジンのVol.3、「アジャイルなプランニングどうやってる?」の記事です。

タイトルはいわずもがな「アジャイルな見積もりと計画づくり」と、知る人ぞ知る「俺なりのペインキラー」のオマージュです。

前提

ここで紹介する「俺なりの計画づくり」は、スクラムチームにおける計画づくりですので、スプリントプランニングのことを指しています。

なんのためにやるか

スプリントで生み出す価値を明確にし、その価値を創出するためにやることを明確にする。そしてそのことについてチームメンバー全員が確約し、プランニングした内容に集中できる状況を作り出すためにやっています。

どうやっているか

私のチームは「ちいとぽ」でいうところのコンプリケイテッドサブシステムチームです。そして、そのサブシステムは会社のコア技術であるため、複数のストリームアラインドチームがステークホルダーであり、それぞれから要望が伝えられます。異なる性質のビジネスを扱う複数事業から来る要望に対して優先順位をつける、というなかなか大変なことをやっています。その大変さについて興味がある方は下記スライドをご笑覧ください。

さて、複数ステークホルダーから要望が寄せられる場合、どのようにプランニングしていくとよいでしょうか。10の要望があったとして、それを並行して進めてしまうと全部のデリバリーが遅くなってしまいます。なので要望に対しては優先順位をつけて、なるべくひとつひとつやっつけるようにし、デリバリーできるものからしていくようにしています。

ここから、具体的にどのように見積もりと計画づくりをしているか紹介していきます。俺なりのやつを。

プレプランニング

チーム全体でプランニングを実施する前に、プロダクトオーナーでスプリントゴールの検討、おおまかな優先順位づけを行っています。
どれくらいおおまかかといいますと、個別のユーザーストーリーではなく「エピック」の単位で優先順位づけをしています。
自分たちに寄せられる要望、自分たちがやろうと思っている研究開発などひとかたまりのストーリー群を「エピック」として扱っています。

このエピックの優先順位はスプリントごとにかなりダイナミックに変えています。期待されるデリバリー時期の近さ(緊急度)、不確実性の大きさを基準に決めています。たとえば、緊急度が高く不確実性も大きいことから1番高い優先順位で扱っていたユーザーストーリーについて、スプリント内の活動により不確実性が取り除かれた場合は次のスプリントで大幅に優先順位を下げることもあります。

プレプランニングでスプリントゴールとエピックレベルの優先順位が決まったら、その時点でチームのSlackに共有し、プランニング時にメンバーがフィードバックできる状況を作っておきます。

プランニングー優先順位づけー

いよいよチーム全体でのプランニングです。
プロダクトオーナーが定めた優先順位をメンバー全員で確認していきます。
プロダクトオーナーとしてはぜひ進めたいと思っているけどDoR(Definition of Ready)を満たしていないものの優先順位を下げたり(そのDoRを満たすための活動の優先順位を上げたり)するなど、プロダクトオーナーの理想とチームの現実を照らしあわせ、理想に近づくための現実的でかつ最良の一歩を踏み出す戦略を描きます。

プランニングー見積もりー

優先順位が定まったら、ストーリー単位で規模感を見積もっていきます。見積もりにはストーリーポイントを採用し、プランニングポーカーで実施しています。

実は、一度プランニングポーカーをやめたことがありました。メンバー感の見積もり誤差が小さくなり、全員でプランニングポーカーを行うことの意義が感じられなくなったことから思い切って撤廃してみたのです。
ですが、その数スプリント後のふりかえりで、プランニングポーカー廃止後にチームのベロシティがぶれやすくなったこと、完成までたどり着かないことが多くなったことなどが取り上げられ、復活する運びとなりました。
あくまで私たちのチームに必要だったという話で、全てのチームにとってそうだとは限りませんが、参考までに。

プランニングーサインアップー

チームとしてやることが決まり、見積もりもできたら、サインアップの時間です。このタイミングまでは誰がどのストーリーに取り組むか決めないようにしています。そうすることでアサインに柔軟性が生まれるからです。

なお、連続性があるストーリーについては同じ人達が担当し続けるケースもありますが、一人しか知らないという状況は極力ないようにしています。

ざっくりとした紹介でしたが、これが「俺なりのアジャイルな見積もりと計画づくり」スプリント編でした。以下に、スプリント外で気をつけていることを記載します。

スプリントより大きな単位でのプランニング

基本的には紹介したスプリントプランニングを積み重ねていくのですが、「ゴールデンウィークむけのフィーチャーの開発」など時限性があるものについては数スプリント先を見越してざっくりした計画を立てることもあります。どれくらいざっくりかというと「ここまでに出したいからこれくらいには始めたい」くらいのほんとにざっくりしたものです。

「計画」は蓄積するので定期的に粛清する

こまめにメンテナンスしているつもりでも、気がついたらしばらく手がつけられていないものなどが出てきます。着手は出来なかったけどいつかやりたいから・・・必要だから・・・そういった「いつかいるから」なタスクがどんどん溜まっていきます。でも、必要ならすぐやりますよね。3ヶ月ノータッチだった、それで何も困っていない計画は思い切って破棄します。

おわりに

以上が「俺なりのアジャイルな見積もりと計画づくり」でした。計画づくりのあり方はそれぞれの現場で流儀があろうとおもいますが、この記事がみなさんの参考になれば幸いです。

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