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Developers Summit 2020 Summer セッションレポート: 【A-1】その後のソフトウェア・ファースト
概要
tably: 「卓」からきている。及川さんの「卓」。
いわきりさんからの「一緒にいる人を、ちゃんと今いるところから高いところに連れて行ってくれる人」というコメント。そこから「卓」が物を引き上げるように、ということでtablyだそうだ。素敵!
Tablyがやっていること
プロダクト戦略の企画立案。技術、製品、組織作り。
もともとはスタートアップを支援していた。日本のスタートアップへの支援はまだまだ足りない。
大企業はソフトウェアへの投資がなかなか進まない。しかし、だからこそここが変わればすごいことになるのではないか、と大企業への支援を始めているとのこと。
ハッカーライフラボ
「ここで話せなかったことを話してほしい」というオファーだった。が、けっこう話してたとのこと笑
ソフトウェアファーストの功罪
「ソフトウェアファースト」という言葉が独り歩きしている
それ自体はよいこと
だが、誤解を生んでいる面もあるのではないか
ソフトウェアを活かすにはどうしたらいいか。データの許諾は…そういった包括的なものをぜんぶ考えて使いこなす。最初に全部考えよう、というのが「ソフトウェアファースト」の考え方。
「本を読んでも、この部分はデブサミに参加するような人には当たり前なことかもしれない」なんて誠実な発言なんだ。
産業の破壊と再生
ここで音楽産業の変化が例として挙げられる。ロンドンコーリングのジャケがクールだ。
アジャイル、リーン。小さく仮説を立てて検証しながらユーザー/市場の求めるものに近づいていく、というのが当たり前になっている。
果たして、日本において当たり前になっているのだろうか。拙著「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」でも言及したが、日本でのアジャイル開発普及率は20-40%らしい。及川さんが描いている世界にはまだたどり着けていない気がする。
SIerに期待する変化
SIerは自社の利益だけ考えていないか、顧客の先にいるユーザーの価値提供を考えられているか。
顧客が競争力をもつことは一つの目標ではある。しかし、そこで終わってほしくはない
海外のプレーヤーが入ってきた瞬間、市場を取られる可能性がある
海外のサービスの使い勝手のよさに驚くことがある
目の前にいる競合だけでなく、海外目線でサービスをブラッシュアップしなければならない。これはSIerに限らず、日本のソフトウェア業界が肝に銘じておくべき事実だ。
世界で勝てる視点をもつことが社会を底上げしていく。
人類の危機
世界は今、課題だらけ
SDGsのキーワードで語られる
世界のライバルに打ち勝つのではない。世界の課題に打ち勝つのだ。
自社、顧客、日本、世界と視座を上げてゆく。ライバルに打ち勝つのではなく課題に打ち勝つー。この言葉にはなるほど、と思わされたし、感動してしまった。そうだ、誰かを打ち負かすことじゃない。課題をなくし幸福を創出していくことが、僕らのやるべきことだ。
日本のマーケットが小さくなっている、は散々言われていることだが、今はそれどころか世界のマーケットも小さくなっている。
世界でのソフトウェア開発
米国:ビジネス。儲かるということがよくわかっている
欧州:科学としてとらえている
日本:製造としてとらえている
製造業をモデルにする、ということが過剰になっているのではないかという問題提起。ふむふむ…と考え込んでいたら、突然早送りになったwww
ここは、後日フル版で配信されたりするんだろうか。
COVID-19
new normalと呼ばれる生活様式が我々の周りに広がっている
Afterとは言わなくなった。With前提になってきた
この状況で生まれた課題は「情報の欠落」。A/D変換をかけているので、いろいろな情報が欠落している。工学部の人間にはとてもしっくりくる例えだw
及川さんがリモートワークに対して否定的だった、というのは意外。
「安易な導入に警鐘を鳴らしていた」とのことだ。
確かに、リモートワークが目的化しては元も子もない。
顕在化した課題
この状況になって、日本のITが遅れているという「誰もが気づいているが目をつぶっていた」問題が明らかになった。たとえば判子。
そもそも不要だったものたちに気づいた
COVID-19によって、見えていなかったものが見えるようになった。これは、COVID-19がもたらした数少ない良い変化だと私も思う。
AnomalyなのかTransformationなのか
一時的なイレギュラーととらえるか変化ととらえるか。10年ぶんの変化がぎゅっと凝縮されて起こっているのが今。
ユーザーの生活様式が大きく変わっていく中で、本当に何をするべきか今一度考えなければいけない
あらためて「我々はなぜここにいるのか」を考えるときが来た、ということだ。1億総むきなおりだ。
ソフトウェアファーストを越えて
このタイトルの本が売れるというのは、日本が危機的な状況であるということ
やっとスタート地点
ソフトウェアを武器にするのは当たり前で、ソフトウェアの範囲ではなく「プロダクト」で考えなければいけない。
自分はプロダクト=ソフトウェアな環境だが、その思考自体がソフトウェアの外側の世界をとらえられていないのかもしれない。自問しよう。
朝イチから濃いセッション、ありがとうございました。