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祝・XP祭り20周年! 参加2年目の新参だけど最高のエクストリーム体験だった話 #xpjug

XP祭り20周年

20周年を迎えることができるカンファレンスが、どれだけあるだろう。XP祭りは、そういった稀有な存在だ。

私がXP祭りに参加したのは昨年、XP祭り2020が初めてだった。下記はそのときに書いた参加レポートだ。

 20周年のXP祭りは、結論からいうと最高だった。

XP再訪

20年前、このコミュニティが立ち上がったときにあったであろうeXtreme Programmingに対する熱い情熱が今も色褪せないものであることを伝える渋川さんの20周年記念セッション。

20年前、2001年には高校生だった自分としてはこういった回顧的な話は大変ありがたかった。その時、何が起こったか。何をしようとしたのか。先人が辿った道筋、苦難の旅路。2021年現在、XPやアジャイルを推進しようとして眉をひそめられることなどそうそうない。その状況は、先人達の血のにじむような苦闘の上に成り立っているということがよくわかった。

Discord上で、古参の方々が思い出のアルバムを愛でるように語りあっているのがとても印象的だった。

自分のしたい、から、みんなのしたい、へ。

20周年を彩るキーノートは、平鍋さん。平鍋さんの存在なくして今日のアジャイル界隈は存在しないだろう。そんな平鍋さんのセッションでは、平鍋さんがXPに傾倒するきっかけとなった初期衝動の話からケント・ベックの家族との邂逅(なんと音声つき!)、そしてAppreciative Inquiryについて扱われていた。

過去をそのまま繰り返すのではなく、現在の変化に必要なアイディアとエネルギーを集める。ポジティブアプローチで変化を継続させる。変化は複雑なプロセスなので「最悪の問題を選び解決し、それを繰り返す」という問題解決型アプローチだけでは変化を継続させるためには不十分なのだ、という話だ。

先日、TwitterでKPTが話題になっていたがその時も「Problemにばかり注目してしまう」点が大きな課題として挙げられていた。XP界隈に限らず問題解決にばかり着目してしまうことの問題は根深いものなのだろう。

ただ、個人的には最初は問題解決からスタートするなのは自然なのではないかな、とも思った。放っておけないほどの問題があるから、たくさんあるから、それを解決したくなる。だから、もともとの「最悪の問題を選ぶ⇢XPを使って解決する⇢その問題が最悪でなくなったら、これを繰り返す」というプロセスは、黎明期にはとてもうまく機能したのではないだろうか。

問題が解決されてきたからこそ、問題解決ではない変化のアプローチの必要性が見えてきた。これは20年続いてきた積み重ねがなし得た偉大な功績なのだと私は思う。

ラストには半ば伝説と化している「Dear XP」が流れ、Discordにエモい空気が流れる。若い。曲も、歌詞も、そしてなにより映っている方々が若い。そしてその若かった方々が20年後の今も一線で活躍しているっていうのが、何よりエクストリームだ。XPすげえよ、というエモさがこみ上げる素敵なキーノートだった。

実践なるほどモブプログラミング!Discordボット作りで祭りだ祭りだ!!ワッショーイ∩(゚∇゚∩)

午後一発目は、Discordボット作りのモブプロに参加。といっても前準備ができておらずわたわたと環境をインストールしながらだったので、ROM専での参加だった。

XP祭りに限らず最近のカンファレンスではDiscordボットが大活躍だ。そのボットをどう作るのかという興味と、社外の人たちがどうモブプロしているのか気になる、という好奇心で参加した。

Google Docsにやってみたいことが書かれ、そこから選び取られ、実装する。それがワイワイと作られている様は、単純に楽しかった。こういう楽しさって開発をするにあたって大切だよな、と改めて感じる。

ペア/モブで行われる人間の理解について 建設的相互作用の論文 (通称「ボビンの論文」) を読みながら考える

界隈ではつとに有名で、読みながら「ペアプロじゃん!」「モブプロじゃん!」と興奮すること必至の名著「教育心理学概論」。

書籍の著者である三宅なほみ先生の博士論文、通称「ボビンの論文」を機械翻訳しながら読み合わせていこうというセッション。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1207/s15516709cog1002_2

相当に難しかった、というのが正直な感想だ。しかし、そこは集合知の力。一人で向き合っていたら心が折れそうなものだが、誰かが解説してくれたり、自分がよくわかっていないところを他の人が「難しいですね」といっていて「わからないのは自分だけじゃないんだ」と安心したり・・・。人と一緒に学ぶということの大切さをプリミティブに実感できる充実したセッションだった。

この論文は、自分の知的レベルを上げてから再挑戦したい。

アジャイルテスティングが倒せない

今回参加したセッションはどれも素晴らしかったのだが、わけても心にぶっ刺さったのがこれ。

開発はアジャイル でもテストはウォーターフォール
開発へは投資するのにテストに投資されない
スプリントの最後にテストをしない
テスト「だけ」に頼らない。テスト「以外」で品質を高める

そうなんだよぉ〜!とうなずいたり、うなずいている癖になんともできていない自分に気づいて「うっ」っとなったり。「そうはいっても自動化するのは難しい」「手間かかるからIterativeにやるのは無理です」とされていた領域も、紹介されていたmablなど、技術的に解決されつつある。そう考えるとよい時代なのだが、ビジネスとマインドセット面での壁がある。ぐぬぬなかなか倒せない。けれどいつか倒してやるぜ・・・アジャイルテスティング・・・

組織内でバリュー・ストリーム・マッピング(VSM)の宣教師をやってみてわかった、VSMを組織に広める3つのポイント

今回、自分はVSM(Value Stream Mapping)について話した。VSMそのものの有効性もだが、有効ではあるが実施、そして効果を出すまでのハードルが決して低くはないVSMを組織に広めるために行ってきたこと、そこから見えてきたポイントについて話した。

さすがはXP祭り、VSMを知らないという人はほとんどいなかったし、実践しているという方も少なからずいた。それでも広めたり、実施したりすることに悩んでいる人も多くいるようだった。

講演中にも話したが、自分がVSMと出会ったのは牛尾さんがきっかけだった。牛尾さんのような一線級の方に来ていただいたにもかかわらず、やはり組織への浸透というのは一筋縄ではいかない。けれども、講演で紹介したポイントをおさえ、「北風と太陽」作戦で根気強くいけば、組織は変えられる。それが何より伝えたかったことだ。

他にも強力なセッションが立ち並ぶ時間帯に私のセッションを選んでくれた方々、そして盛り上がってくれた方々には感謝しかない。参加者あってのセッションです。

奇跡のLT

ラストはXP祭り名物のLT。LTでもガンガン大物が出てくるXP祭り。
そして今年のLTはすごかった。何がすごいって、みんな時間通りに終わるのだ。LT大会といえば時間オーバーして銅鑼を鳴らされたり、途中で打ち切られたり・・・なんならその様子が風物詩になっているフシさえある。

しかし、20周年のXP祭りは違った。

一人、二人、三人・・・話者を重ねても時間はオーバーしていかない。切り替えも非常にスムーズ。時間通りに進行して何驚いてるんだ、と思われるかもしれないが参加している方々は皆一様に驚いていた。

コミュニティ紹介から、過去のLTのリベンジ、現場の話など硬軟織り交ぜたLT大会は内容も秀逸で、このごった煮感がXP祭りの原風景に近いのかもな、と新参者なりに思った。

そして祭りは続く

少し遅れて懇親会に参加し、あー楽しかったと床につく。これでXP祭りは終わり。

ではない。

数日後、ポストに一冊の本が届いていた。

XP祭り参加者への書籍プレゼントが届いたのだ。いや、無料カンファレンスであれだけ楽しい体験ができて、そのうえ本も届くってエクストリームが過ぎやしませんかね!

20周年をむかえてもなお新規参加者が居て人が入れ替わるXP祭り。来年も絶対参加したいし、初参加の人を連れていきたい、とも思った。このnoteを読んで「なんか楽しそうだから参加してみようかな」と思ってくれる方が一人でもいたら、とても嬉しい。

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