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RSGT2023参加レポート 接触篇

参加してきましたRSGT2023

年初から良質なセッション、ネットワーキングが生まれ、一年のスタートを豊かに彩ることで広く知られるRSGT2023。今年も参加してきました。

参加者として、どのようにギャザリングしたかに重きをおいた「接触篇」と
登壇者として、何を場にもたらし何を自ら学んだかを語る「発動篇」に分けてレポートを書きます。

Day1に参加したセッション

Five Practices for Building Software with Scrum

David Bernsteinのソフトウェア開発に対する情熱(特にTDDに対しての熱量はすごかった!)が画面越しでも伝わってきました。スクラムガイドはその適用範囲をソフトウェア開発の外側にまで広げていますが、ソフトウェア開発の現場であってさえもスクラムのプラクティスと開発が乖離して感じられる場面があります(ここ数年のXP回帰のような空気は、そこからきていると個人的に思っています)。

DavidのKeynoteでは、あらためてソフトウェア開発におけるスクラムというベーシックな部分を考えさせられました。スクラムを導入していく中で「スクラムやると開発する時間減るじゃないですか」と言われることがあり、モヤモヤしていたのですが、このKeynoteを見てもらえばそれは誤解だということがわかるんじゃないかなー。最高だなー。なんて思いながら聞いてました。

アジャイルコーチング × システムコーチング 〜Agile & ORSC are eating the world〜

アジャイル界隈でここ最近ホットなシステムコーチングという概念について、稲野さんの丁寧で温かい語り口で解説されるセッションでした。技術問題と適応課題。何かを変化させるときに障壁になるのはだいたい適応課題だ、と感じており、その感覚は正しいものだと確信させてくれたという意味で、非常に自分にフィットしたセッションでした。

エンジニアリングマネージャー業の具象と抽象

CTO→ICというキャリアチェンジを経て、またEMの道を歩むYOSHIKIさん。2回目EMだからこそわかることをわかりやすく言語化しており、また「EMはこれが仕事だよ」という単純なものではなく、いかに成長するか。いかにEM候補を作っていくか。というところまで言及しており、おー、これは45分尺で聴きたいぞ、とおもった次第です。

RSGT2022のOSTから学んだ人事評価における公平性と納得感を得るための軸作り

人事評価というものにはウェットさが伴います。透明性が大切でありながらも、詳細にルール化をすると、書かれていない部分の解釈が独り歩きしたりする難しさもある。そしてそれが人を評価するという性質のものであるため、なかなかオープンな場での議論の俎上にあがりにくい。

そのテーマを持ってきたじゅんぺいさんの勇気が素晴らしいし、実際にじゅんぺいさんが活動されている内容は多くの現場で参考にしたくなるようなものでした。さすが新潟の雄!

Effective Retrospective++~楽しいだけじゃない、次の一歩を自分で踏み出し続けられるふりかえりへ~

ともにふりかえりを肴に語り合う盟友、びばさん。このあと自分の登壇があるので途中までしか参加できませんでしたが、出会ったあの頃のままのふりかえりのパッションを持ったびばさん、あの頃よりずっと聴衆への訴えかける力がついているびばさんを見て「私も頑張るぞ」と勇気をもらえました。

びばさんもおっしゃってましたが、数年前とくらべて参加者たちの「ふりかえり」に関する悩みのステージが前進していると感じられました。そのことに胸を熱くし、自分の講演へと向かいました。

Day2に参加したセッション

The Agilists’ Emerging Superpower and Our Planetary Challenge

会場につくころにはすでに満席で、残念ながらご本人が登壇されているルームには入れず。ただ、画面越しでもそのパッションは伝わってきました。
ベーシックなスクラムの解説から始まり、気がつくと地球規模にまでスケールしているトークの壮大さには揺さぶられるものがありました。

Living Management -Good bye Scrum, Hello Semilattice-

ライブハウス、ソラシティへようこそ!

思わぬトラブルに見舞われつつもそれ自体を楽しむ参加者たちが最高にRSGTって感じでした。

そして、きょんさんが語る「なぜ経営にコミットするのか」という話が個人的にぶっ刺さりました。
今の自分は、あくまで開発者として、開発者が最高の働き方をできることにフォーカスした仕事をしています。これが自分には心地いい。ビジネスとか経営とかを考えなくていい今の役割は、とても心地いい。でも、それで本当にChange the Worldできるのか?楽しいだけで終わってないか?そんな深い問いが胸に刺さって抜けない、そんなセッションでした。

だったら WF でやればいいぢゃない! 〜 ところでホントに WF をご存知ですか? 〜

「まだ一度も時間内に話し切ることができていない」と笑顔で語るとみーさん。そう、これは45分枠のLTなのだ!

めちゃめちゃ軽妙な語り口で、だからそこかしこで笑いが起こる。でも「WFはWFだからダメなんだ」という無知ゆえの切り捨てに陥らず、そもそもみんなが知ってるWFってWFなの?WFってなんなの?を丁寧に掘り下げたこのセッションは、「WFってダメだって言われてるからダメなんでしょ?」という解像度の人にはぜひ見ていただきたいです。

ラグビー元日本代表がスクラムやってみた

ラグビーのスクラム、私達のスクラム。その両方を経験しているという希少な視点から語られる共通項、差異がおもしろい。ただ、まだこっちのスクラムについての経験は短いということもあり、共通項と差異から更に深堀りをして新たな洞察を得るというところには至っていない印象を持ちました。半年後なり一年後なりに、きっとそこの話が出てくるのではという勝手な期待があります。

「笑顔の合意」のテクニック - 噛み合わない会話と対立を克服するための、エモさを排した実践的なスキルと技法 -

これは全員見てください。無理にとはいいませんが死んでも見てください。
アンガーマネジメント、NVC、マインドフルネス。DavidがKeynoteで語ったソフトウェア開発を実践するのは誰かというと、人間です。私達です。人間というものは不完全なものなので怒り、恐れ、心が彷徨います。

自分の場合、もともと人の心理、コミュニケーションというものに特段の興味をもっていたわけではありませんでした。ミーティングは極力なくしたいし、コードだけですべてを表現できるようにしたい。人間と人間のコンフリクトが問題なら、人間と人間が関わらなければいい。そういう考えでした。

けれども、今日私達が向かうソフトウェア開発の現場にその考え方はフィットしません。そもそもソフトウェアを使うのは誰か?残念!人間でした!

というわけで、不完全な人間同士がどうにかこうにか手を取り合い前に進むために、心理・コミュニケーションについて理解しスキルを習得する必要があると考え、今日の自分があります。

そんな自分にとってHiroさんのセッションはクリティカルヒット。セッションの構成自体が、提唱している内容に沿って作られている丁寧さとかもシビれました。

これは全員見てください。無理にとはいいませんが死んでも見てください。

幻のDay3

今回、私事都合により3日目の参加は見送りました。三度の飯より大好きなOSTに出られないということには忸怩たる思いでしたし、「えー、OST出ないんですか!!楽しみにしてたんですけど」という声もいただいたりして、やや悶々としていました。

私が初めてRSGTに参加したのはRSGT2020。このとき、およべさんのセッションでたまたま隣に座ったもうひとりのいくお(Ikuo Suyamaさん)。様々な共通点があり、いまではすっかり親友です。2日目の終わり、彼に「私、あしたは出られないので、2人分のいくおを背負ってOSTに参加してください!!」と、わけのわからないお願いをしていました。

そして3日目。OSTを終えたらしい彼からこんなメッセージが入りました。

「やりきりました!」

そのメッセージには、いくおのOSTに参加してくれたたくさんの人の笑顔と、そこで話し合われた「いきいきするための月曜からの一歩」が貼られていました。

いくお!ありがとうございます!

これはもう、えらく感動してしまいました。OSTが開催されている時間帯、私は子どものリトミック参観に参加しており、まったくRSGTの現場にはいなかったわけです。けれども、彼からのメッセージで、あたかもその時間にそこにいたかのような、そこでいきいきしていたかのような感覚を覚えました。

いくお、そして参加してくださったみなさん、ほんとうにありがとうございます。

ギャザリング!

今回も品川アジャイルさんがライブ配信しており、Day1はfuroshiki.fmさんに、Day2はあらうんど83さんにお邪魔しました。

3:20:40から

2:10:17から

また、Red Journeyさんのブースでは社員でもないのにサイン書かせてもらったり

うきうきテーブルにお邪魔したり。

ついにShiibaさんとお話することができたり。

クリエーションラインさんのビンゴを楽しんだり。(ほんと、CLさんはいつも場を盛り上げることを最優先にしてらっしゃって、すごいなと思います)

これ以外にも数え切れないほどのギャザリングがありました。みなさん、ありがとうございました。



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