Developers Summit 2020 Summer セッションレポート: 【A-9】プロダクト作りのトランスフォーメーション
概要
ラストは粕谷(a.k.a. だいくしー)さん、門脇さん、市谷さんのリレーセッション。
この半年で変わったものと変わらないもの -SaaS開発の現場より
Mackerelチームはもともと東京・京都それぞれのオフィスにメンバーが在籍しているリモートチーム
以前から在宅勤務のメンバーがいる
パフォーマンスが低下するのでは、という仮説
計測することにした
あくまで現状把握で良し悪しを測ってはいけない
この良し悪しを測らないというのは大事だけど、ついやってしまう。悪しざまには言わないが、うまくいってると「良いね」とつい言ってしまう。気を付けないとな。
在宅勤務でパフォーマンスが落ちないように頑張りすぎていないか
これは自分の現場でもあがった仮説だ。
パフォーマンスの計測はひろきさん作のgilotを使ったとのこと。
新しくワーキングアグリーメントを取り入れたとのことだが、自分の現場でもリモートワーク移行に際してリモートワーキング・アグリーメントを作成していたので驚いた。だいくしーさんの現場と自分の現場は、何か似ているところがあるのかもしれない。
開発チームのパフォーマンスは変わらなかった
チームの取り組みはたくさんのことが変わった
変わりやすいルールを設けた
新しいチャレンジが受け入れやすくなる工夫を
この半年で変わったものと変わらないもの - SaaS開発の現場より
「不確実性の高い世界のなかで非連続な成長を生み出す」
可能性が広がっていき、進捗率は下がる。ポジティブな後退というのは面白いな。
2月末から原則リモートワークに働き方を移行
7月から原則リモートワークを解除
開発チームに大きな混乱はなかった
だいくしーさんの現場もだが、エンジニア組織はリモートワークへの移行でネガティブな影響をあまり受けていないということなのだろう。これぞニューノーマル。
CPOに依存していたWhyの創出をメンバーたちで行った、というのはプロダクトだけ見ていると価値がわからないが、とても大事なことだ。ここに時間を割いているというのがまず素晴らしい。
トランスフォーメーションジャーニー
プロダクト開発のイマココで立ちふさがるものとは何か
不確実性
逆境
断絶
プロダクト開発が最初から整っていることは無い
イマココの延長戦にないからこそ、整っていない。そう考えるとこのつらみは不可避なものなのだ。つらみ。
本人にもわからない中で、われわれは何を作るべきなのか?
答えがない中で自分たちなりに考える
やってみたいベースで判断する
オーバーエンジニアリング
これは、ソフトウェアエンジニアなら1つ2つは身に覚えがあるのではないだろうか。1つや2つどころではないか。
DXを進めるうえでは向き合うべき制約が増える
歴史的な前提負債、ゼロエキスパート、政治的安全性、目の前最適化…
様々な制約が「このままでいいじゃん」という思考停止に帰結してゆく。。
リモートワークでさらに難しくなる
つらい・・・
分断の三角形を乗り越える
仮にでも、しっくりこなくとも、いったん方向性を置く。
その方向性を変えておく約束を置く。
それがタイムボックス。
門脇さんの話でもあったけど、やはり「Why」が大事だと再確認。だいくしーさんの現場で「ワーキングアグリーメント」を作ったのも、行動原理を共通化するためだ。人はWhyに生きる。
不確実性には探索と学習(仮説検証型アジャイル開発)を、
逆境には段階と向き直り(段階の設計)を、
断絶には対話と再定義(自律分散協調)を。
Transformation = 価値基準の再定義
価値基準、Whyは最重要だと私は考えている。そして、このWhy自体に問いを投げかけアップデートし続けることが、こと今日においては重要なのだろう。話を聞きながらそのように感じた。
統一的な価値観を作ってそれを守るのではなく、それぞれの価値基準を設けておいてバラバラなまま合意形成する。
3つの視点から
どのスピーカーの話からも、「Why」の重要性、対話の重要性という普遍的なものが浮かび上がってきた。
コロナ禍で事業の優先度が変わったり、突然リモートワークになったり元に戻ったり。あまりにも変化が大きい状況だからこそ、変わらない軸を置いて変化に向き合うことがこれまで以上に重要性を帯びているということだ。
変化の中で変わらぬパフォーマンスを実現しただいくしーさん、
変化に積極的に働きかけていった門脇さん。
そして変化できない現場の変化を構造化し働きかける市谷さん。
それこそバラバラな3つの話が、奇妙な統一性をもって訴えかけてくる濃いセッションだった。
リモートであってもデブサミはデブサミ、最良の学びを与えてくれる。