Developers Summit 2020 Summer セッションレポート: 【A-4】apt update my-society: シビックテックとCOVID-19
概要
2月のデブサミでも登壇された関さん。
その時点では、まだCOVID-19関連のプロジェクトに大きく関わることになるとは思っていなかったとのこと。
前回のスライドはこちら。
危機のときにはシビックテックが花開く
世界26カ国でCode for xxが活動
日本では全国約80地域でCode for xxが活動
上下関係があるわけではなく分散型で活動している
関さんが活動を始めたきっかけは東日本大震災とのこと。
危機のときにはいろいろな活動が生まれる。
そして、今のコロナ禍。
情報が増えれば増えるほど不安も増えていく、だからこそ手を動かして打破していこうという決意表明のようなTweetだ。
そこから、この東京都のCOVID-19対策サイトにつながっていったという事実は熱い。
GitHubでオープンソース化されたこのサイトが出てから、東京都の対応に対して肯定的な意見がグッと増えたような記憶がある。私が勤務している会社でも話題になった。
全国への波及
OSSだったからこそ、全都道府県への波及が迅速に行われていった。
どうしても暗い気持ちになりやすい時期に、一筋の希望となって心を温めてくれていたことを思い出す。
Code for Nagareyamaのこちらは、ほぼノンコーディングで出来上がっているとのこと。
OSSコントリビュートというと、相当に技術力がないと関わってはいけないようなイメージがあった。しかしこのノンコーディングの例からは、非エンジニアであっても目の前の課題を解決することに貢献できる、ということがわかる。勇気が出る。
こんなにもCOVID-19で課題が噴出したのかという驚きと、こんなにも多様な支援の形があるのかという驚き。
接触確認アプリ
いま世に出ている「COCOA」とは別物だが、Code for Japanでも接触確認アプリを開発していた。
Slackにジョインしたメンバーが3,000人超とのことで、もはや大企業レベル。
ヒットを打つには、普段からの経験が必要
社会の課題を解決するものを実際につくっていくためには、経験が必要
東京都のコロナ対策サイト開発には、紙マップPJのメンバーや経験が役立ったとのこと。まったくのゼロベースではなく、積み重ねた経験と技術の先にコードがあるということか。
データをいかに作るか、というところも課題。地域情報アドバイザー(総務省)とオープンデータ伝道師(内閣官房IT総合戦略室)、VLEDが協力して標準データの定義書を作った。
支援制度情報についても、東日本大震災時から標準化が進められていたとのこと。こういった一つ一つの積み重ねが今回の活動につながっているということだ。
「オープンソースへの投資は、社会的な知的資本の蓄積に繋がる」
税金で図書館を立てるようなものだ、というたとえはしっくりくる。今回の全国への広がり方をみていると、まさに「社会的な知的資本」が蓄積され、広がっていったことがわかる。
こちらの記事は高校生の方が書かれたということ。すごい時代だ。
・プロセスの可視化
・10代20代(前半)の活躍
こういったところは、既存の企業の枠組みではなかなか難しい。OSSだからこそだし、OSSのポテンシャルの高さがうかがえる。
伽藍からバザールへ、少し変化したのかもしれない。
一方でCOCOAリリース時の騒動が示すように、まだまだ政府のOSS活用には課題がある。
エンジニアよ、もっと地域や行政と対話しよう
地域や行政に変わることを待ってもらうのではなく、自分たちから対話していこうという呼びかけ。個人と対話を重要視するアジャイルなエンジニアであれば、まさにこういう行動をとっていくべきだということ。
一歩ふみだすためのヒント
一歩踏み出すのは自分から
講演中、チャットでたびたび「貢献できるはずなのにできていなかった」「微力ながら何か貢献したい」といった意見が上がっていた。自分もそういう気持ちになった。
ソフトウェアをつくる力を持っていて、この国に住んでいる。この国にはたくさんの課題がある、であれば、こういった活動に資していくべきなのかもしれないー。そんな気持ちにさせられるセッションだった。
「技術を会社のためだけに使うの、もったいなくないですか?」関さんの問いが頭の中で響く。
「自分の技術を、社会課題の解決のために使おう」
「我々の子供の世代に、より良い未来を残すために」