カエルを茹でてしまえ!
そもそもなぜカエルなのかは謎だが…
ゆでガエル理論、ご存知だろうか。
じわじわとした環境変化には気づき辛く、気づいたときには手遅れ…ということを戒めた、理論というよりは教訓のようなものだ。
人は環境の変化を避ける
以前、環境変化へ抗う力、逆にいうと現状維持への強烈なモメンタムについて記した。
実際、物事を動かすのは大変だ。大胆に変更を加えると、たとえ前進していても拒否反応が起きてしまうのが常だ。
開発の現場でもそうで、システムの刷新などは当然の如く大変であるし、新しい手法の導入や開発プロセスのアジャイルへの移行などもたいていモメンタムによる逆風が発生する。
では、気づかないほどの小さな変化を加え続けたら?
結論からいうと、許容範囲の変化を繰り返すことで、反発なく大きな変革を成し遂げることが可能だ。
ネガティブなニュアンスで捉えられる「ゆでガエル」だが、気づかないうちに変化を受け入れさせる、というポジティブで前向きなゆでガエルを、ここでは提案したい。
どう茹でるか
まずは、なにはなくとも「ふりかえり」を定着化させる。
ふりかえりさえ定着していれば「まあ失敗しても戻せばいいし」という冒険しやすいマインドが生まれる。
ちなみに実施インターバルとしては1-2週間をおすすめしたい。そのくらいの期間なら大したことはできないのでおのずと「茹でていることに気づかない」小規模なアクションになるし、期間が短いことで効果もみやすいからだ。
だが、ふりかえりを定着させることが案外難しい。
・トップダウンで強い意志を持って継続する
・アクションアイテムは必ず実施し、効果を実感させる
この2つが定着化までにやるべきことだ。
他にも楽しさを重視するというのもある。特に導入時には効果的だ。
半年がかりのスクラム鍋
ここからは自分自身のチームでの事例だ。
6月現在、わたしがスクラムマスターとして関わるチームでは
・2週間スプリント
・デイリースクラム
・ファイブフィンガー
・プランニング/レビュー
・ふりかえり
を実施している。ガッツリ、スクラムだ。
しかし導入当初は、プランニングもレビューも形式的。
それまでは「自分の案件に対し個々人がコミット」だったためそこからの差分が大きく、あえて採用しなかった。
その分、ふりかえりだけはしっかりとやっていた。
早い段階でファイブフィンガーが生まれ
プランニングポーカーが採用
プランニングの時間を長くとる
レビューは原則、動くものを見せる
といった具合に、半年がかりでチームをスクラムに慣らしていった。
プランニングの時点でレビュー時までに到達しておきたいところを明確にするなど、実のあるスクラムイベントが実施できている。
お前もゆでガエルにしてやろうか
上記はチームへのスクラム導入の過程だったが、他にもこのゆでガエル作戦が使えるのは
・単体テストの導入
・リファクタリング
といった保守性を高める取り組みだ。
はじめは軽微なテストケースからはじめて、可視化しながらカバレッジを上げていくとよい。
さあ茹でよう
というわけで、何事もいきなり大きな変化を加えず、小さなステップで効果をみながら変化させていこう。
ある程度の期間がたてば、あなたのカエルはすっかり茹であがっているはずだ。
「変化したいのに周りが変わってくれない」そんなときは、本稿のように「相手が許容できる変化量」の積み重ねで大きな変化をめざそう。