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事実・感情・評価を分けて捉えると、ふりかえりの質は向上する
はじめに
これは、「[いちばんやさし,いきいき]+いくおの Advent Calendar 2021」 7日目の記事だ。
火曜はふりかえり編。いいたいことはタイトルの通り。
事実・感情・評価は混ざりやすい
ふりかえり対象期間中にあったことをチームで共有するときに、「〇〇で嬉しかった」「〇〇があって辛かった」のように事実と感情を混ぜてしまうことがある。
同じように、「〇〇があって大変だった」「XXがうまくいった」のように、事実と評価も混ぜてしまいやすい。
人間が思考するときには背景に感情があり、無意識で評価を行っているのだろう。ある程度仕方ない。
しかし、ここが混ざっていると、場もその感情・評価にひっぱられやすい。
ある事象Aに対して、ポジティブな感情を抱いている人とネガティブな感情を抱いているヒトがそれぞれいる場合がある。その状態で「Aはとても楽しかった」ということが書かれ可視化されていると、なかなか「Aで悲しい思いをした」とは表明しづらい。
ふりかえり期間に発生した事実と、それに伴ってそれぞれの心に起きた感情、事実に対する評価が明らかになっていると、ふりかえりに深みが増す。
たとえば満場一致でネガティブに感じていることはシンプルに改善しよう、という話になるが、複数の感情や評価が入り乱れている事象についてはもっと細分化したり、コンフリクトする感情・評価の境界線でなにが起こってるか検査するきっかけになる。
ふりかえり手法を活用する
ここを分離するためには、オーソドックスなふりかえり手法が役に立つ。
たとえばタイムラインは事実を時系列順に並べ、縦軸で感情を表現するものだ。
ファシリテーションで分離を促す
話している中で、無意識に感情・評価が混入することがある。そういうときはファシリテーターが「XXとおっしゃいましたが、YYが起きた。それに対してZZだと感じた、ということですか?」と感情・評価を分離する手助けをしよう。
慣れてないと分離は難しいが、こういった対話を通して徐々にできるようになっていく。
練習しよう:この投稿はどうだった?
この投稿に対して抱いた感想から、事実と感情、評価を分離する練習をしてみよう。
たとえば…
「クソみたいな記事だ」
こういう感想を、事実・感情・評価でリファクタリングしてみよう。
・湧いた感情:怒り
・与えた評価:低評価
なぜ怒ったか→自分の考えと合わない
なぜ低評価か→具体性がない
リファクタリング後は以下のようになる。
事実:この記事は具体性がない。また、自分の考え方と一致していない。
感情:怒っている。
評価:低評価
このように分離できていると、「もっと具体性のある記事を書いてほしい」「自分の考え方は〇〇なので共感できない、〇〇の考え方に合致したアプローチはあるか」など建設的なフィードバックができるというものだ。
事実・感情・評価の分離は意識的に行っていきたい。