みじかいお話 #6
久しぶりの晴れ間だった。「晴れた日においで」と彼が言っていたから、こんな日を待っていた。
初めて会った時、彼は「森で暮らしているよ」と言った。それを聞いてから、僕はもうウズウズして仕方なかった。なぜって、僕は森に住みたいからだ。二度目に会った時は、どんな家なのか聞いてみた。すると彼は「今度、おいでよ」と言って、その日はそのまま帰っていった。
それからも、彼は「気が向いたから」「なんとなくね」と言って現れては端の方で微笑んでいて、ときどき言葉を置いていった。石を並べるみたいに。