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テスラの「Dojo」とは?
「Dojo」とは、テスラが開発している自社製スーパーコンピュータの名称です。
🟩AIのトレーニング用スーパーコンピュータ
「Dojo」は、テスラが自社の人工知能(AI)の学習に使用するために設計されたスーパーコンピュータです。「Dojo」という名前は、武道のトレーニングを行う場所である「道場」に由来しています。この名前は、AIの訓練を行う場所として「Dojo」が適しているという意味が込められているようです。
現在「Dojo」は開発中ですが、そのプロトタイプ(試作機)がすでに発表されており、テスラのAI部門の責任者から紹介されています。
「これは本当に素晴らしいスーパーコンピューターです」
🟩自動運転用AIに特化
テスラは、この巨大な「Dojo」スーパーコンピュータを、自社の自動運転技術を進化させるためのAIトレーニングに使用する予定です。具体的には、テスラが保有する膨大な数のドライビングデータや物体認識データを活用します。たとえば、テスラは10秒ごとの映像が100万本以上、そして60億個の物体にタグ付けされたデータを所有しています。これらのデータは合計で1.5ペタバイトにもなり、これは非常に大きなデータ量です。このデータを使ってAIを学習させるためには、非常に強力なスーパーコンピュータが必要になります。
テスラは、レーダーやライダーといった他のセンサーを使用せず、カメラのみを使った自動運転システムを目指しています。そのため、大量の映像データを処理する能力が重要で、「Dojo」のようなスーパーコンピュータが欠かせないのです。実際に、テスラは北米市場向けのModel 3とModel Yでレーダーを取り外し、カメラに依存するシステムに移行しています。
🟩「Dojo」の性能は?
発表された「Dojo」のプロトタイプでは、NVIDIA製のGPU(グラフィック処理ユニット)を使用しています。具体的には、8つのNVIDIA A100 TensorコアGPUを20ノードに組み合わせて、合計で5,760個のGPUが動作しています。このシステムは1.8エクサFLOPS(1エクサFLOPSは1秒間に1兆回の計算を行える処理能力)の性能を持ち、世界で5番目に強力なスーパーコンピュータに相当します。ただし、テスラはまだ世界的なスーパーコンピュータランキング(TOP500)に参加するためのベンチマークテストを実施していません。
🟩「Dojo」の外部開放計画
2021年4月、テスラのCEOであるイーロン・マスクは、「Dojo」を将来的に外部の企業にも開放する計画があると発表しました。これにより、他社も「Dojo」を活用して自社のAIをトレーニングできるようになる可能性があります。
🟩まとめ
テスラの「Dojo」は、自動運転AIを進化させるために開発されているスーパーコンピュータです。将来的に外部の企業が「Dojo」を利用することで、テスラはさらに多くのデータと知見を蓄積し、自動運転技術が一層洗練されていくでしょう。
現在「Dojo」ではNVIDIA製のGPUが使用されていますが、今後テスラが独自のチップを開発し、それを採用する可能性も考えられます。
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