オランダ企業の英国ファブ買収に英政府が懸念する理由
英国のボリス・ジョンソン首相は、オランダNexperiaによる英国の半導体ファブの買収に関する国家安全保障調査を約束した。
🟩オランダ企業の親会社が中国企業であるため
オランダ企業のNexperiaが英国のNewportWafer Fabの100%所有権を取得した。それに伴いFabの名称もNexperiaNewportに変更された。Nexperiaは支払われた金額を明らかにしていませんが、8700万米ドル(約90億円)といわれている。
Nexperiaは中国企業Wingtech Technologyの完全子会社であり、NewportWafer Fabの買収についてもWingtechのHPにて公表されている。親会社が中国企業ということで、英国政府が国家安全保障上の懸念あるため調査を行うという。
🟩懸念される中国企業
英政府が懸念する企業買収の構図
Wingtech (中国)
↓子会社
Nexperia (オランダ)
↓買収
NewportWafer Fab(英国)
Wingtech(聞泰科技)
中国にてスマートフォンの受託製造サービス業(EMS)を手がける企業。世界的なチップ供給不足に直面して、自動車用チップへの投資を継続的に増やしている。2019年にNexperiaの株式のうち75.86%を取得し、2020年に100%の保有を完了し完全子会社化した。
Nexperia(安世半導体)
Nexperiaはロジック、MOSFETなど製造するIDMの半導体企業である。前工程はハンブルク(ドイツ)とマンチェスター(英国)、後工程は広東(中国)、スレンバン(マレーシア)、カブヤオ(フィリピン)に製造拠点持ちます。
Nexperiaはディスクリート、ロジック、MOSFETデバイスを専門とする世界的なリーダー企業です。2017年初めにNXP Semiconductors N.V.より独立しました。効率を重視し、一貫して信頼性の高い半導体部品を年間850億個生産しています。その広範な製品ラインナップは自動車業界の設定した厳格な基準に適合しています。
2016年にFreescale Semiconductorの買収したNXPが、スタンダード・プロダクト事業部門(ディスクリート、ロジック、MOSFETなどの製造・販売)を中国金融投資家コンソーシアムに売却し、新会社として「Nexperia」を設立された。
Nexperiaは、Newport Wafer Fabが提供するファウンドリサービスの顧客であり、2019年に2番目に大きな株主になっていた。
NewportWafer Fab (ニューポートウエハーファブ)
NewportWafer Fabはパワー半導体と化合物半導体製造している。生産量は200mmウェーハを月産35,000枚で、南ウェールズで450人を雇用している。
1982年 INMOSとして操業開始し、2002年 International Rectifier傘下に入り、その後 International Rectifierを買収したInfineonから独立し2017年にNewportWafer Fabとなった。
🟩まとめ
英政府は安全保障リスクとして中国資本の企業の英国ファブ買収に懸念を示した
中国Wingtechは半導体への研究開発投資を強化する方針で英国fab買収もその一貫。英国も半導体投資を国内に呼び込みたい、安全保障のリスクとの板挟み。