Knock! Knock! Indonesia
Knock! Knock! 第二回目はインドネシアからです。
インドネシアからは、過去に合計9名DOOR to ASIAに参加してくれました。
今回5名のデザイナー・編集者の方がKnock! Knock!で、今のインドネシアの状況とコロナ禍の取り組みについて話してもらいました。
トークの内容はこちらからご覧ください。
What we (ADGI team) did during this pandemic
ここからは、今回参加してくれた5名のデザイナー・編集者からのメッセージを一部抜粋して紹介します。
Rege Indrastudianto
Graphic designer / ADGI (インドネシアグラフィックデザイン協会)理事長
「DTA 2016」と、DTAから派生した「Design Camp Okuyamato 2016」に参加したRegeは、ADGI(インドネシアグラフィックデザイン協会)でも同じようなプログラムができないかと、デザイナー×地域事業者のプログラムを通じて、デザインの役割を伝えています。
「ADGIの2020年のリサーチでは、1400名のデザイナーのおよそ70%がコロナ禍で仕事を失ったとの結果が出ています。
また、観光産業をメインとしていたバリやトバ湖でも多くの方々が仕事を失いました。
こうした状況を受け、観光関連商品から国内向け商品の作成へと方向転換した中小企業に対し、ADGIは商品価値やストーリーを伝えるパッケージデザインを制作するプロジェクトを政府と共同でスタートしました。
1つのプロジェクトにつき25~50の商品を作成し、Jakarta, Bandung, Jogja, Bali, Labuan Bajo, Toba, Mandalikaの7つのエリアのデザイナーたちと協力しながら、仕事を失ったり、新たな商品を必要としていたりする中小企業に対し、オンラインとオフラインを組み合わせてさまざまなサポートを行いました」(Rege)
下記に発表したパッケージデザインのいくつかを紹介します。
Sunset Limited
Fandy Susanto
Graphic Designer at Table Six
Fandyは、「Design Camp」に2回参加してくれたデザイナーで、「Sunset Limited」というクリエイティブコミュニティスペースを運営しています。
「『Sunset Limited』は新進気鋭のアーティストらが作品を発表し、アイディアをシェアできるようなスペースを作ろうと、2015年、コーヒーショップとグッズ販売からスタートしました。
クリエイティブに携わる人たちが集まる場所を作ることで同じ興味や考え方を持つ人たちが繋がり、アートと文化を通して社会をより良くしたいとの願いも込めています。
2020年にはカフェスペースとギャラリースペースを分け、よりクリエイティブが発表しやすい場所を作ろうと移転したものの、コロナパンデミックによる政府からの規制で運営がままならない状況が続きました。
そこでオンラインギャラリーを試したのですが、オフラインのようなインパクトを与えることができず、下記4つを軸に運営していくことにしました。
・Offline exhibition (人数制限を設けて)
・Offline /Online shop (展示用の商品を作って、アーティストと利益をシェア)
・Online Activities (バーチャルツアー、アーティストトーク、オンラインワークショップなど)
・Documentation (展示のポートフォリオを作って、アーティストの次のシーンにつなげる)
今後はより多くのアーティストが次のステージに行けるようにサポートしながら、コロナが空けたらまた他の国とも密接に繋がっていきたいと願っています」(Fandy)
A Massage from Nature
Diaz Adisastomo
DiazはDesign Campに参加してくれた、家具・インテリアデザイナー。
彼がシェアしてくれた内容は、コロナ禍での彼と家族の経験と、その中で気づいた大事なこと、”A message from Nature”についてです。
「2020年3月にインドネシアで初めてコロナウィルスの感染が確認され、2021年1月には家族にも陽性者が出ました。
私の家は幸運にも隔離できるスペースがあり、家族間のコンタクトを遮断することができました。
しかし、インドネシアの多くの家族はそのようなスペースがないため、家族で感染者がいれば全員に広がる状況でした。ウィルスは見えるものではないので、家族の中でのストレス、都市部に住むストレスを皆さんが感じていると思います。
コロナ禍でのプロジェクトの一つに、友人のFandyが主宰する『Sunset Limited』があり、その中に木製の家具を作る取り組みがありました。
木にはストレスを軽減する効果があると言われています。
このパンデミックは、ストレスや感情的な混乱など、肉体的にも精神的にも影響を及ぼします。 しかし、この状況は自然が私たちに与えてくれたものを再認識する機会でもあり、私たちが世界を別の視点から見ることにも役立つはずです」(Diaz)
Design for ageing community
Athina Dinda Ibrahim
Dindaは、Design Campに参加してくれた、編集者・プログラムオーガナイザーです。
デジタル/印刷メディア、文化関係組織の芸術プログラムなど、さまざまな創造的なプラットフォームで文化的なストーリーテリングに情熱をかけています。
「文化とデザインの影響を理解することを通して、インドネシアのクリエイティブなエコシステムに興味を持っています。
今、『Cast Foundation』という財団で、コロナ対策に必要な医療機器のサポートをしたり、オンラインでハッカサンプログラムを実施したりしています。
今回シェアしたいのは、『コロナ禍における70歳以上の人たちに対して、どのようにデザインするのか』についてのリサーチです。
70歳以上の高齢者の多くは、コロナ禍で同世代のコミュニティに会う機会が減ったり、運動不足になったりと、毎日の習慣の中で新しいチャレンジをする機会が減っています。
それに加えて、子供たちが親の面倒を見ることが少ないこと、またデジタルツールを信用しないためにオンラインバンキングやオンラインショッピングに抵抗があり、孤立するケースも増えているのです。
そのような状況の中で、彼らがアクティブでいられるようになるには地域のコミュニティーサポートが必要です。
例えば、
Whatsapp (無料のメッセージと通話サービス)で買い物リストを送るだけで、買い物をしてくれるサポート
ワクチン接種の予約サポート
いつまでもおしゃれで、素敵でいるためのサポート」(Dinda)
Post- Covid19 Initiative
Jefferson Edri
JeffはDTA 2018に参加してくれた、グラフィックデザイナー。Feat主宰。
Fandyと一緒に「Art Book Fair Jakarta」などを手がけています。
今回、デザイン的観点からコロナパンデミックとどのように向き合っていくかについての考えをシェアしてくれました。
「インドネシアでは感染者と死者数でロックダウンを実施したり、中小企業が最もダメージを受けたり、ワクチンを受けない人がいるなど、さまざまなニュースがあります。
ですが、ウイルスを根絶するか、エンデミックになるかでないとコロナウィルスは完全に無くなることはないのです。
そのため、自分たちで新しい習慣を作っていかなければいけません。小さいスケールから考えていくと、手洗いやマスク着用、ソーシャルディスタンス、そしてそれをサポートするシステム(デザイン)などがあります(例えば、ソーシャルディスタンスのt-shirtを作るなど)
今まで私たちは、シートベルトの着用や、プラスチックバックを使わないなど、様々な習慣を変えてきました。
ここでは、文化を『共有された日常の習慣』と定義したいと思います」(Jeff)
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