神田発! カレーグランプリ優勝の、業界第2位のチェーン店【日乃屋カレー(神保町店)】
めくるめく神保町カレーと共に(第7回)
国内最大規模のカレーの祭典、神田カレーグランプリ
神田——それは、東京都千代田区の北東エリアを指す言葉。
古くは武家屋敷が立ち並び、明治以降は学生街として栄えたエリアだ。さらには出版社や古本屋、カフェなども集まっており、神田はまさに文化と伝統の街といえるだろう。
そんな文化と伝統の街は、ただ古きを守るだけでなく、新しいカルチャーを生み出そうとするエネルギーに溢れている。
そんなエネルギーで生み出されたイベント、それこそが神田カレーグランプリ。2011年から毎年開催している、国内最大規模のカレーフェスだ。
(神田カレーグランプリのサイトはこちら)
ちなみに、神田カレーグランプリはフェス型(屋台が集まる形式)なのだが、スタンプラリー型のイベントもある。
このイベントは期間中に神田地区のカレー店の実店舗を回り、そこでカレーを食べてスタンプをもらう……というものだ。
スタンプを貯めると神田カレーマイスターという称号とカードを獲得することができ、対象店舗で提示すると限定の特典(ラッシーサービスなど)をもらうことができる。
……のだが。
要件がけっこう厳しい。
なんと期間内(約4か月)に最低でも36店舗を回る必要がある。
マイスターにもグレードがあり、最高峰の栄誉【グランドマイスター】を 獲得するためにはスタンプラリー参加店舗全149店舗を回る必要がある。スタンプラリー期間は142日間なので、1日1食カレーを食べてもグランドマイスターの称号は得られない。過酷すぎる。 (なお、公式サイトでは「ご飯の量を減らしてハシゴしよう!」というハシゴ推奨令が出されており、筆者はそのキマり具合に戦慄した)
閑話休題。
そんなカレーグランプリは、さすが国内最高峰の祭典とあって、グランプリを獲得した者は例外なく超人気店へと上り詰めている。
その代表格とも言えるのが【日乃屋カレー】。
2011年に創業した比較的新しいカレー専門店でありながら、2013年の神田カレーグランプリ受賞により人気が大爆発。
CoCo壱番屋に次いで、業界第2位の店舗数(97店舗)を誇る、新進気鋭の超人気カレーチェーンである。
始まり甘く、後より辛い
神保町駅から徒歩2分、前回紹介した共栄堂の並びにその店はある。
軒先にはでかでかと「神田カレーグランプリ優勝店」と「神田史上初の殿堂入り店」の文字が踊り、カレーへの期待が高まる。
価格は850~1000円と、神保町カレーのなかでは比較的お手ごろだ。
食券を購入して中に入る。
食券を渡す際にライスの量を選択することができる。
しかし、ルーの量が並盛であっても少なく感じるくらいの量だったため(ルーはあくまでもソースとして使用されている、といった雰囲気だ)、大盛りを選ぶ際にはその点に注意しよう。ルー大盛りは+200円だ。
ちなみに、7分盛りという食券もある。小食の人はそちらも視野に入るだろう。
訪問時刻は午後3時30分ごろ。
店内はカウンター席が10数席と、テーブルが1つ。どちらかというとおひとり様向けのお店のようだ。
さて、食券を渡して待つこと3分。
芳ばしいスパイスの香りと共に、カツカレーが登場した。
注文を受けてからカツを揚げていたようだが、想像以上に素早く提供されて驚いた。トッピングが揚げ物以外のカレーはさらに早く提供されるようなので、時間が無い時でも立ち寄り易そうだ。
いざ、実食。
それでは福神漬けを添えて——いただきます。
———うん、うまい!
かなり口当たりがまろやかなルーだ。
カツは一口サイズにまで切られており、スプーンで簡単に食べることができる。
通常のカツカレーではカツをスプーンで切って食べることが多い筆者だが、常々、口に入れた瞬間にバラバラになってしまうカツを寂しいと感じていた。
しかし、このカツは提供時点でナイフで一口サイズに切られているため、スプーンで切った時のようにバラバラになりづらく、サクサクの衣とジューシーな豚肉のコンビネーションがきちんと味わえる。
第一印象はかなりオーソドックスな甘口カレーだが……
————ッ!
後から、かなり鋭い辛さが追いかけてきた!
口当たりのまろやかさとは裏腹に、嚥下した瞬間に広がるのはスパイスの織りなす複雑な辛さだ。
のっぺりとした甘さを押し流すような粒だった辛さは、まさに日乃屋カレーが愛される理由だろう。オーソドックスなカレーのようでいて、口の中で広がる味わいの変化のおかげで飽きずに食べ進めることができる。
味の奥行きこそないものの、時間経過によって変化する味のおかげで、カレーに深みが出ている印象だ。
日乃屋カレーは、自らのカレーに「始まり甘く、後より辛い。余韻残りしカレールウ」というキャッチコピーを付けている。
そのキャッチコピーの通り、フレンドリーな甘さとキリっとしたドライな辛さが特徴の、非常に緩急のついたカレーだった。
ごちそうさまでした。
総評
第一印象は、かなりオーソドックス。
例えるなら、無名ブランドのレトルトカレー(甘口)といったところだ。しかし、嚥下した瞬間に口の中に広がるスパイス感が、紛れもなく神保町の名店であることを思い出させてくれる——そんなテクニカルなカレーだ。
味変不要の味わいは、まさに神田カレーグランプリに相応しい一皿と言えるだろう。
テイスティングノート
さいごに
さて、いかがだっただろうか?
神保町カレーグランプリ発、業界第2位の店舗数を誇る新進気鋭のカレー屋【日乃屋カレー】の魅力を伝えることができたのなら幸いだ。
チェーン店なので、もしかしたら読者諸兄の馴染の土地にもお店があるかもしれない。見かけた際にはぜひ立ち寄って、神保町カレーグランプリの頂点の味を確かめてみてほしい。
次回更新は【8/6】ごろの予定だ。
ぜひぜひ、楽しみに待っていて欲しい。
それではそれでは。
日乃屋カレー公式サイト:
※本記事の情報は、2024年7月現在のものです。
メニューの価格や内容、営業時間は変更になる可能性があります。
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