禁書の話のつづき
先日こちらの記事でコミュニティカレッジの図書館で”禁書紹介キャンペーン”と銘打って特設コーナーを設けていたことを書きました。
ずっと「なぜ禁書になっているのか、誰が禁書にしているのか」を司書さんに聞きたかったのですが機会がありませんでした。
昨日やっと聞けたので紹介したいと思います。
(いつも気難し気なこの司書さんに質問するのちょっと勇気がいる・・・)
私「すみません、あの禁書紹介コーナーの本は誰がなぜ禁書にしているのか教えていただけますか?」
司書さん「(よくぞ聞いてくれた!とばかりに目を見開いて一気に説明しはじめる)あのコーナーの本は全米のさまざまな学校、地域の図書館、施設などで禁書にされた本をこのコミュニティカレッジの図書館がリストから選んで紹介しているの。全米にあるPTAや地域の”有志”、教育委員会などが主に禁書に指定することを学校などに申請して、申請された側が認めれば禁書になるの。禁書にされたことがわかった時点でこのAmerican Library Associationのリストに記載されることになるから、誰でもチェックができるの。」
と言いながら司書さんは「見せてあげるわ」とすぐにパソコンでそのウェブページ(禁書リスト)を開いて見せてくれました。
そこからは2人でこの本も?!この本も?!!と驚きつつ、”最も禁書にされている本のTOP10”などのページを見ながら意見交換しました。
その司書さんは「ペンギンの本(ちょうど先日の記事で紹介したゲイペンギンの本)なんて実話なのよ?意味が分からないわ、もうアメリカはこんな国になってしまってるのよ、頭がおかしい人たちのおかげでね!」と私と会話しながらその場にいない人達に対する怒りを吐露していました。
私も「頭おかしいですね・・・ハリポタも入っているし、The Hate U Give by Angie Thomas(警察官に殺された男子学生とその場にいた友達について描かれた実話)が禁書にされるとか終わってる・・・」とESL授業の前の短い時間でしたが盛り上がりました。
ハリポタが全米の各地で禁書にされている理由は「魔女が出てくるから」です。きわめて個人の信条なのか好みなのかに基づく理由ですよね・・・心の底から黒魔術信仰を毛嫌いしているなら、もちろんハロウィーンの時の衣装を売るお店にも「髑髏や魔女や黒猫や黒魔術っぽいものはおくな!」、子供たちにも「そんなものは着るな!」と抗議しているはずですよね。
言わずもな、なにを信じるかは完全に個人の自由の範疇ですがこうして人の自由を侵害したがる狂気はどこから来るのか、吐き気がしますが覗いてみたい気持ちもあります。
この胸が悪くなるような禁書の話のあとに救われたと思ったのは、司書さんに「授業がなくてもこのコミュニティカレッジの図書館に来てもいいですか」と聞いたときの返事に感動したからです。
司書さんは「この図書館には学生でも学生でなくてもいつでも来て。税金を払っていようがいまいが、それも関係ない。このコミュニティカレッジの図書館は地域のものなのよ」と。
なんと、図書館の純粋な存在意義、理念を率直に語る人がいるとは・・・良い人と巡り合えたな、と思いました。
イラクでもシリアでもこうした理念に命を懸ける人がいたからこそ、学ぶ場が守られてきたわけで・・・
司書さんに「あなたに今日質問して本当によかった」と感謝を伝えて授業に向かいました。
また時間をつくって訪れたいと思います。
~おまけ~
さきほどマンションの敷地内ですれ違った女の子とこんなやりとりをしました。
頭に大きな花をつけた女の子「(私を見つける)oh, hi!」
私「Hi!Beautiful Hair!!」(flowerの方が良かったのか・・・?)
女の子「Thank you!」
~女の子しばらく歩く~
女の子「You look good too!!」
私「セーンキュ!!」
私の顔をみてアジア人がとても珍しい地域だからなのか、目を真ん丸にして見つめる子供がそこそこの確率でいます。
この子はまったく先入観なく接してくれました。
アメリカも若者から変わっていく様子が見られます、選挙結果をみても。
日本はどうなるのか・・・