傲慢と善良 読書感想文
ああ、これ私だ。
10ページほど読んだ時、すぐさま悟った。
これほど、自分の物語のように感じた本は今までになかった。
私の未熟な部分、傲慢であり善良である部分を見事に言い当ててくる。
人に必死に隠してきた、恥ずかしい部分を、これでもかってくらいに解剖されて、つまみ出される。
自己肯定感が低くて、己の意思で選択できないから、どこか他人任せの部分がある。
だけど、自分のパートナーが誰でも良い訳ではない。
自己愛だけ妙に強くて、相手を知らず知らずのうちに値踏みし、自分と釣り合うのかを考えてしまう。
そして結局どこへにも行けない、何も変えられない。
そんな閉塞感が突如襲ってくる。
誰と一緒に時間を過ごすのか選ぶとき。
きっと、純度100%の愛だけで選べている人なんて皆無なんじゃないかとおもう。
みんな、それなりの傲慢さと善良さを持って、生きている。
「あんだら、大恋愛なんだな」
これは、婚約した男女(主人公)の傲慢さと善良が全て明るみになり、
女性の方が途方に暮れていた時に、おばあちゃんがかけた言葉だ。
自分の心に巣食う、その傲慢さと善良さを認識した時、今まで相手と積み上げてきた時間が全て保身のためのものだったのではないか、と思えてくる。
表面的な、偽物の愛を、自分のために、必死に取り繕っていただけなんじゃないかと。
でも、もし、傲慢さと善良さという名の鎧で、守ってきた自分の心に、
目立たなくても「確かに」存在していた、”愛”を知ることができたら。
それは、誰がなんと言おうと
大恋愛、
に違いないのである。
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