【怖い話】「例の女」 後日譚 ……を、書こうと思ってたんです【「禍話」リライト48.5】
怖い話ツイキャス「禍話」には、一種の禁忌として扱われる話がいくつかある。
そのうちのひとつが、「例の女」と呼ばれる一連の話だ。
詳細は省くが、これを聴くと
「その女が、聴いた人の元に出る」
……かもしれないのである。
街で不意に出会うかもしれない。
夢の中で遭遇するかもしれない。
部屋に突然出現するかもしれない。
その女の「名前」を聞くと、それはもうバッチリ、テキメンに「出る」と言われている。
なので、これが語られた 「燈魂百物語 最終夜」(リンク) では、女の名前は完全に伏せられている。話と同時に、名前が禁忌なのである。
そのため、名前抜きのこの録音を聴いても女は現れないかもしれない。しかし気を抜いているとヒョコッと現れるかもしれない。そのへんはギャンブルみたいなものである。
ただし。
語り手のかぁなっきさんいわく、この女は「かまわれたがり」だそうだ。
思うに、話を聴くだけなら、まだ危険度は低いのではないかと想像する。
だが、これをリライト(文章化)したりするのは、あまりよくないと思われる。
実際、少し前に某ユーザーさんにより一度全体がリライトされたものの、半年と経たずしてその記事は消されてしまった。
消された理由は不明であるが、しかし…………
今年の10月に再び、この話をリライトした猛者の方がおいでのようだが、自分はそういうカッコいいことはできない。無理である。こわいので。
一方で、さかなさんの手による力作、「例の女ってどんなオバケ? 調べてみました!」的な綺麗にまとまった解説記事はすでにある。
でもやっぱり、書いてみたい。
リライトを50話近くやってきたのだから、一発やってみたい。
そんなわけでこの記事では、
「『例の女』を語った前後に、語り手や聞き手・リスナーの皆さんに何が起きたのか?」
を書いてみようと思う。
話本体を書くのではない。後日譚だ。外伝だ。間接的に、やんわりと触れるだけ。
これによって「例の女」の襲来を華麗に回避できる、とこういう算段なわけである。
だからまぁ、これは書いても読んでも大丈夫です。問題ないと思います。おそらく。たぶん。願わくば……。
そのような気持ちで、自分は今この文章を書いている。
書いている途中で来たり出たりした場合は、とりやめにする予定である。こわいので。
それでは、よろしくお願いします。
…………と、序文を書いて、
「いきなりペンが書けなくなった話」
「深夜の定食屋にいるはずのない人がいた話」
「お兄さんに『誰だお前!?』と怒鳴った話」
「『ウ ラ ヤ マ シ イ』と言われた話」
などを書き継いでいた12月14日深夜(15日未明)のこと。
今日はここまでにしよう、と布団に入って寝ようとした。
すると、外から声が聞こえてきた。
若い女の声である。
会話ではない。一人で喋っている。
……夜中の2時近い。
こんな時間に仕事から帰ってくるような住人は近場にいない。
友達と遊んでいたにしても遅すぎる。しかも今日は週末ではなく、月曜の深夜だ。
その上、外は超寒い。雪がちらついている。電話しているとは考えにくい。
女はすごい早口なのだか、同時に布団をかぶっているように声が「くぐもって」、モゴモゴしている。
何を言っているのかさっぱり聞き取れない。
「~~~でしょ?」「~~~だよ?」と怒気を含んで問い質しているような調子だけがなんとなくわかる。
うるせぇなぁコノヤロウ、夜中やぞ? と窓に近づいて外を見ても、誰もいない。
玄関をちょいと開けてみても、目に見える範囲には人っ子ひとりいない。街灯に照らされた道路が黒々と伸びているだけだ。
停めた車の中で電話しているのかと思ったが、乗用車もタクシーも見当たらない。
それどころか、確認しようとするとぱったり声が聞こえなくなる。
声の届き方からしてここから10メートルとは離れていない感じなのだが、姿が見当たらないのだ。
で、改めて寝ようと横になると、また聞こえてくる。
何かに怒っているような声高な響きで、女はキンキンとまくしたて続けている。
……あー。これ、あれだね。うん。
きっとここからは微妙に見えない場所で、女性が電話してるんだ。寒さに強い女性がな。
うん、そうに違いない。そうだそうだ。はっはっは。
このように自分を騙して寝ようとしたものの、声は延々と聞こえてくる。もう5分近く怒っている。
そのうち、あることに気づいた。
あっ。この声。
電話とかじゃない。
明らかに、俺んちに顔を向けて発されてる。
…………………………。
自分はさっきまで書いていた4000字くらいをスッ、とさりげなく消した。
それから、知らないふりをして布団をかぶって寝た。
こうなったらもう、寝るしかなかったのである。
触ってしまった自分が悪いのだが、さすがに出現が早すぎると思う。書きはじめて実質3日目である。
例の方におかれましては、もうちょっと手加減してほしい。ボクはここ最近いろいろあって胃を痛めているんです。いたわってください。
しかし、上記の文章のどこらへんが気に入らなくてキレていたのだろう。
やっぱり日和ってハンパなものを書こうとしたのがよくないのかしら…………
ということで、この記事はこれでおしまいです。すいません。こわいので。
さすがに読み物としてのテイをなしていないため、「禍話リライト48.5」(リライトじゃないけど)とさせていただきました。
そういうわけで、勘弁してください。
あと、もう来ないでください。
【おわり】
☆本記事は、無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」、
魁!オカルト塾 第一回 などより、編集・再構成してお送りする予定でした。
☆☆そういえば「例の女」の回の録音が聞けなくなっていた時期がありましたね。
禍話wiki は平穏無事に運営されますように…………
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